悲劇が楽しめる戯曲おすすめ10選

2026-02-27

悲劇おすすめ戯曲脚本選び演劇戯曲図書館

今回は、戯曲図書館の悲劇カテゴリに掲載されている作品から、上演時間やキャスト人数の情報を確認しやすい10作品を選びました。悲劇といっても、古典モチーフを再構成したもの、戦争や社会の分断を描くもの、家族や個人の喪失に焦点を当てるものなど、作風は幅広いです。公演企画の方向性を固める際に比較しやすいよう、各作品の特徴を一つずつ整理していきます。


1. 愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸(横内謙介)

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上演時間は約120分、総人数は10人(男性6・女性4)です。病室にいる王様と道化の旅のような展開から始まり、現実と妄想が交差しながら、傷ついた人物の内面へと物語が収束していきます。場面のスケール感と心理劇の両方を扱えるため、群像で進めつつ終盤は一人の悲しみに焦点を当てたい団体に向いています。寓話的な構造を悲劇としてどう立ち上げるかが見どころです。

2. 髪をかきあげる(鈴江俊郎)

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上演時間は約120分、総人数は7人(男性4・女性3)です。あらすじ情報は未登録ですが、2時間規模の中編〜長編として、人物関係の積み重ねで悲劇性を深める設計がしやすい条件がそろっています。男女比のバランスも取りやすく、複数キャラクターの視点を行き来する構成に適しています。具体的な内容の確認は、戯曲図書館の作品ページ情報を起点に進めるのがおすすめです。

3. ともだちが来た(鈴江俊郎)

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上演時間は約90分、総人数は2人(男性2)です。OMS戯曲賞第2回大賞の作品で、蒸し暑い状況下で「来訪者が水を飲まない」という違和感が緊張を生み、日常の会話がじわじわと不穏に傾いていきます。少人数・短めの上演時間で、俳優の演技密度と間の設計が作品の強度を決めるタイプです。派手な転換よりも、言葉の裏にある感情の崩れを丁寧に見せたい公演に向いています。

4. 無差別(中屋敷法仁)

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上演時間は約90分、総人数は7人(男性4・女性3)です。戦前から敗戦へ向かう時代を背景に、兄妹が過酷な運命へ巻き込まれていく物語で、社会構造と個人の倫理がぶつかる重厚な悲劇になっています。歴史の流れを単なる背景にせず、登場人物の選択の痛みとして見せる構成が特徴です。時代性のある作品を上演したい団体や、社会的テーマと人物ドラマを両立したい企画に適しています。

5. ソノ先に在る、あるいは居るモノへ(吉岡克眞)

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上演時間は約180分、総人数は25人(男性5・女性15・その他5)です。不倫、いじめ、殺人など日常の隣にある不幸から、非日常的な出来事までを含むオムニバス形式で、複数の悲劇を連作として描きます。長尺かつ大人数なので、演出設計と現場運営の両面で準備が必要ですが、その分、劇団全体で取り組む大型企画として成立しやすいです。群像悲劇を段階的に重ね、観客に余韻を残したい場合に有力候補です。

6. 害悪(升味加耀)

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上演時間は約90分、総人数は7人(女性7)です。第三次世界大戦下で、戦死者の代替としてアンドロイドが支給される近未来を舞台に、三姉妹と周囲の関係が破綻へ向かっていく作品です。SF設定を持ちながら焦点は人間関係の断絶にあり、倫理や喪失を現代的な語り口で扱えるのが強みです。全員女性キャストで編成できるため、条件が合う団体では上演計画を立てやすい点も実務的なメリットです。

7. Fumiko(重信臣聡)

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上演時間は約80分、総人数は16人(男性10・女性6)です。1937年のアメリカ西海岸の日本人街で夢を追う若者たちが、1941年の日米開戦によって人生を断ち切られていく過程を描いています。時代の転換が個人の希望を奪う悲劇であり、歴史の事実と人物の感情線をどう接続するかが見どころです。短めの上演時間ながら登場人物は多く、場面転換のリズムを活かした演出に向いています。

8. イリアス〜怒りと戦争と運命についての叙事詩(木内宏昌)

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上演時間は約160分、総人数は19人(男性4・女性6・その他9)です。ホメロス『イリアス』を戯曲化した作品で、傲慢、怒り、友の死、復讐といった悲劇の根源的モチーフが前面に出ています。古典題材ですが、戦争の連鎖と人間の感情を現代の観客にも届く形で再提示できるポテンシャルがあります。神話的なスケール感を舞台で扱いたい団体にとって、挑戦しがいのある一本です。

9. チェーコフ・イズ・グレート、バット...(木内宏昌)

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上演時間は約180分、総人数は27人(男性9・女性9・その他9)です。チェーホフ四大戯曲の要素を抜粋して交互に構成し、恋と苦悩を軸に悲劇性を立ち上げる意欲作です。複数作品の文脈を横断するため、演出や翻案の理解が求められますが、成功すれば知的な厚みのある舞台になります。大人数編成を活かし、古典のエッセンスを再解釈する企画に向いています。

10. 天使は瞳を閉じて(鴻上尚史)

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上演時間は約130分、総人数は10人(男性6・女性4)です。原発事故後、記憶を封じるために作られた透明な壁の内側で暮らす人々と、そこに関わる天使を描く物語です。ファンタジックな設定の中で、社会が痛みを忘却しようとする構造を浮かび上がらせる点に強い悲劇性があります。現実の課題を寓話として提示し、観客に問いを残す作品を探している場合に適した一本です。


悲劇作品を選ぶときの実務ポイント

悲劇カテゴリの作品を比較するときは、次の3点を先に確認しておくと企画判断がしやすくなります。

  • 上演規模: 2人規模(「ともだちが来た」)から20人超の大規模作品まで幅があるため、団体の運営体制に合うかを確認する
  • 悲劇のタイプ: 戦争・社会問題・家族崩壊・古典翻案など、何を中心に据える悲劇かを整理する
  • 上演時間と密度: 80〜180分まで差が大きいので、公演枠と稽古期間のバランスを取る

短〜中尺で濃密な心理劇を目指すなら「ともだちが来た」「害悪」「Fumiko」、社会的テーマを正面から扱うなら「無差別」「天使は瞳を閉じて」、大規模な群像・古典系に挑むなら「ソノ先に在る、あるいは居るモノへ」「イリアス〜怒りと戦争と運命についての叙事詩」「チェーコフ・イズ・グレート、バット...」が検討しやすいです。


テーマ別に見る組み合わせ提案

悲劇カテゴリは方向性が広いため、1本を単独で選ぶだけでなく、団体の目的に合わせて比較軸を作ると選定がスムーズになります。たとえば、現代的な問題意識を前面に出したい場合は「害悪」「天使は瞳を閉じて」「無差別」を軸にし、技術設定・社会制度・歴史背景のどこに重点を置くかで候補を絞る方法が有効です。

一方で、俳優の演技力を強く見せたい場合は「ともだちが来た」や「髪をかきあげる」のように、会話や人物関係の濃度で勝負できる作品を中心に検討すると、演出意図がぶれにくくなります。少人数編成は稽古調整がしやすい反面、台詞の精度がそのまま舞台の評価に直結しやすいため、配役段階での適性確認が重要です。

また、劇団全体で大きな挑戦をしたい場合は「ソノ先に在る、あるいは居るモノへ」「イリアス〜怒りと戦争と運命についての叙事詩」「チェーコフ・イズ・グレート、バット...」のような大人数・長尺作品が候補になります。これらは稽古設計、転換計画、宣伝段階まで含めた総合的な制作力が問われるため、早い段階で上演体制を決めておくことが成功の鍵になります。


上演準備のチェックリスト

悲劇作品を上演候補にするときは、作品の魅力だけでなく、制作面の整合性を同時に確認することが重要です。特に初動で整理しておきたいのは、配役の成立性上演時間に対する稽古計画舞台美術・音響の負荷の3点です。配役が成立しても、長尺作品で稽古時間が不足すると完成度に大きく影響します。

また、悲劇は感情の振れ幅が大きいため、演技トーンの共有を早めに行うことが有効です。読み合わせ段階で「写実寄りに進めるのか」「象徴性を前面に出すのか」をすり合わせておくと、後半の演出修正コストを抑えやすくなります。戯曲図書館の作品ページで基本情報を確認しながら、候補を2〜3本に絞って比較検討すると、意思決定がスムーズになります。


まとめ

悲劇の戯曲を選ぶときは、単に重い題材かどうかではなく、「どの視点から痛みを描く作品なのか」を見極めることが重要です。今回紹介した10作品は、少人数の緊張感ある会話劇から、大人数で社会や歴史を描く群像劇までバランスよくそろっています。

戯曲図書館では、各作品ページで上演時間、キャスト人数、あらすじなどの情報を確認できます。気になる作品があれば、リンク先の作品ページで詳細情報を確認し、団体の条件や公演目的に合う一本を選んでみてください。