1937年アメリカ西海岸の日本人街。 渡米してきた鐵三は、いとこの正一に町を案内してもらい、彼の妹Fumikoが歌うステージを見る。 立派な商売人になる夢を抱く鐵三に励まされ、ブロードウェイに立つという夢に近づいていくFumiko。 正一もまた、自分の店を持つための計画を立てていた。 そして1941年、日米開戦。すべての夢が終わるときが来る。
ステージと客席の区別がない空間で始まる”体感型”ミュージカル。 立ち見の観客の中を役者が行き来し、劇中に入り込むような趣向となる作品です。 夢見た舞台での成功へ踏み出してゆくFumikoと、その眩しさに距離を感じる鐵三。 しかし開戦によって強制収容が始まり、彼らの夢は潰えることとなります。 まず胸が痛むのは、夢を掴む寸前だったFumikoが、開演前の降板を告げられる場面。 そして日系人の強制収容が始まると、正一や鐵三も連行されていきます。 「俺たち。資本家じゃなかった、労働者でもなかった。家畜だったんだ。フェンスで囲って。俺たち、人間じゃなかった。」 広い世界で何にでもなれると信じていた正一が、強制収容によって突き付けられた現実はあまりに残酷なものでした。 何も成せないままフェンスの中に押し込められた彼が、越えようとした壁は一体何だったのでしょうか。 輝かしい夢とその終わりのコントラストが強い印象を残します。