演技の基礎完全ガイド
初心者でもできる!プロも実践する基礎トレーニング
演技力向上の3つの柱
声
発声・発音・抑揚
身体
姿勢・動き・表情
感情
共感・想像・表現
Step 1: 声の基礎トレーニング
1-1. 腹式呼吸をマスターする
舞台で声を届けるには、腹式呼吸が必須です。 正しい呼吸法を身につけることで、長いセリフも楽に話せるようになります。
基本練習方法
- 1仰向けになる
床に寝転がり、お腹に本を乗せる
- 2鼻から吸う(4秒)
本が上に上がるのを確認
- 3口から吐く(8秒)
ゆっくりと本が下がるのを確認
- 4立った状態でも練習
同じ感覚で呼吸できるまで繰り返す
1-2. 発声練習
明瞭な発音は、観客に内容を伝える基本です。 毎日10分の練習で、劇的に改善されます。
母音の練習
- • 「あ」:大きく口を開ける
- • 「い」:口角を横に引く
- • 「う」:唇を前に突き出す
- • 「え」:舌を下の歯につける
- • 「お」:唇を丸くする
滑舌トレーニング
- • 外郎売り(ういろううり)
- • 早口言葉集
- • ナ行・ラ行の区別
- • パ行・バ行の破裂音
- • サ行の摩擦音
Step 2: 身体表現の基礎
2-1. 基本姿勢
ニュートラルポジション
すべての動きの基本となる姿勢です。この姿勢から、どんな役にも変身できます。
- 足:肩幅に開き、つま先は正面
- 膝:軽く緩める(ロックしない)
- 背筋:頭頂部を糸で引っ張られるイメージ
- 肩:力を抜いて自然に下ろす
- 視線:まっすぐ前を見る
2-2. キャラクターの身体性
年齢による違い
- 子供:重心高く、動き大きい
- 若者:軽快、直線的
- 中年:安定、ゆったり
- 老人:重心低く、ゆっくり
性格による違い
- 明るい:上向き、開放的
- 暗い:下向き、閉鎖的
- 自信家:胸張る、大股
- 臆病:縮こまる、小股
Step 3: 感情表現の技術
3-1. 感情を理解する
感情のレイヤー
人の感情は単純ではありません。複数の感情が同時に存在することを理解しましょう。
例:「怒り」の場合
- • 表面:怒り(声を荒げる)
- • 中層:悲しみ(期待を裏切られた)
- • 深層:愛情(本当は大切に思っている)
3-2. 感情表現の練習法
感情記憶法
- 1. 自分の過去の経験を思い出す
- 2. その時の身体感覚を再現する
- 3. 役の状況に置き換える
- 4. セリフに感情を乗せる
身体から入る方法
- 1. 感情に合った身体の形を作る
- 2. 呼吸を変える(浅い/深い)
- 3. 筋肉の緊張を調整する
- 4. 自然に感情が湧いてくる
毎日の練習メニュー
15分でできる基礎練習
腹式呼吸
仰向けになり、お腹に手を当てて呼吸。お腹が膨らむ・へこむを意識
母音発声
「あえいおう」を大きく口を開けて発声。各音10秒キープ
早口言葉
「生麦生米生卵」などを徐々にスピードアップ
感情朗読
同じセリフを喜怒哀楽で読み分ける
💡 ポイント:毎日継続することが大切です。最初は5分からでもOK。徐々に時間を延ばしていきましょう。
実践編:シーン別演技のコツ
独白(モノローグ)のコツ
- • 観客を「もう一人の自分」と思う
- • 目線は斜め上の一点に固定
- • 感情の変化を3段階で作る
- • 最後は観客に向かって開く
対話シーンのコツ
- • 相手の目を見て話す(舞台上でも)
- • 相手のセリフをちゃんと聞く
- • リアクションを大切にする
- • 間(ま)を恐れない
感情爆発シーンのコツ
- • 事前に小さな予兆を作る
- • 身体全体を使って表現
- • 声だけでなく呼吸も変える
- • 爆発後の「静」も大切に
コメディシーンのコツ
- • タイミングが命(早すぎず遅すぎず)
- • 自分は真面目に演じる
- • オーバーリアクションは計算して
- • 観客の反応を待つ余裕を持つ
よくある悩みQ&A
Q. 緊張して声が震えてしまいます
A. 緊張は誰でもします。深呼吸をして、「緊張している自分」を受け入れましょう。 声の震えは、腹式呼吸でお腹から声を出すことで改善されます。 また、「震えてもいい」と思うことで、逆に震えなくなることもあります。
Q. 感情が入らず、棒読みになってしまいます
A. まず、セリフの意味を理解しているか確認しましょう。 「なぜこのセリフを言うのか」「相手に何を伝えたいのか」を考えます。 次に、自分の経験と照らし合わせて、似た感情を思い出してみてください。
Q. 動きがぎこちなくなってしまいます
A. 最初は動きとセリフを別々に練習しましょう。 動きだけを音楽に合わせて練習し、身体に覚えさせます。 その後、セリフを加えていくと自然になります。
Q. 他の人と比べて下手だと感じます
A. 演技に「正解」はありません。あなたにしかできない表現があります。 他人と比べるのではなく、昨日の自分と比べましょう。 毎日少しずつ成長していけば、必ず上達します。
演技上達の極意
1. 基礎を大切にする
発声・身体・感情の基礎練習を毎日続けることが、確実な上達への道です。
2. 観察力を養う
日常生活で人々の表情、しぐさ、話し方を観察し、演技の引き出しを増やしましょう。
3. 恥を捨てる
失敗を恐れず、思い切って表現することが成長につながります。
4. 楽しむ心を忘れない
演技は楽しいもの。楽しんでいる姿は、観客にも伝わります。
次のステップへ
基礎を学んだら、実際に作品に挑戦してみましょう。 初心者でも演じやすい作品を集めました。