紀元前13世紀のギリシアとトロイアの戦いを描く、ホメロスによる最古の英雄叙事詩『イリアス』を戯曲化。 傲慢な王・アガメムノンに反発して戦いを拒むアキレウス。しかし友人パトロクロスの死を受けて再び戦場へ戻り…。 終わらない戦いの運命と、その中での怒りと悲しみを描く。
傲慢な王への怒り、そして友の死への怒り。全編を通してアキレウスは怒りを持ち続けています。 しかしこうした怒りは、戦う者たち誰もがその身に帯びているようにも見えます。文章を通しても感じられる戦場の熱は、こうした怒りによるものなのではないでしょうか? どんな予言も家族の言葉も、戦いに赴く者たちを止めることはできず、死ぬことを定められた戦いの場に誰もが身を投じていく。 悲しみは怒りへ変わり、戦いは終わることなく、残された者たちの悲痛な声が止むこともない…はるか昔から変わらない、戦争を取り巻く人々の悲劇が描かれた作品です。