病室にいる王様と道化が、そこから抜け出し荒野へ行き、町へ行く。新しい人物とも出会い、宿へ入って賑やかに騒ぐ。 その宿に逗留している旅芸人一家が、宿代も払えない状態でいることがわかった。その子供が悪い道に行かないようにとするが、娘が見世物になりそうになり、そこで王様が正体を明かし、自分を見世物にするようにと言う。混乱が激しくなったところで現代人が訪問してくる。 すべてはかつて生徒との事件で傷ついた学校教師の妄想の中だった。妄想が終わり、眠っている教師にかつての生徒の声が聞こえてくる。
非常に残酷な話でもあります。主人公の仮面のひとつで、裸の王様のその後というのは、確かに面白いテーマです。子供ですら夢を見ない国での芸人、ドン・キホーテと離れ離れの従者サンチョ、宿屋の主人、彼らはみな夢と現実の差に打ちのめされてるようです。 最後に本当の現実の話になるのですが、これもまた過去に教師が残酷な仕打ちにあっていました。彼はそれに耐えられなかったのです。ですが、生徒が訪ねてきて、かけてくれた言葉に救われたのか、最後には笑いが戻ってきて、部屋には木漏れ日が差し込みます。子供も大人になるほどの時間が傷を癒やしてくれたのかもしれません。
東京生まれの劇作家・演出家。早稲田大学第一文学部に進学後、神奈川県内の高校演劇部のOBを中心に劇団善人会議(現在の扉座)を立ち上げました。その後も、劇団公演の作品を手がけ、特に『愚者には見えないラマンチャの王様の裸』で第36回岸田國士戯曲賞を受賞するなど、演劇界での著名なキャリアを築かれました。