【第70回 岸田國士戯曲賞】最終候補8作品を解説|選考会は2月16日

2026-02-15

岸田國士戯曲賞演劇賞新作戯曲劇作家2026

岸田國士戯曲賞とは

岸田國士戯曲賞は、日本の演劇界で最も権威のある戯曲賞の一つです。劇作家・岸田國士の名を冠し、白水社が主催しています。

演劇界の芥川賞」とも称され、新人劇作家の登竜門として1955年から続く歴史ある賞です。過去の受賞者には、野田秀樹、鴻上尚史、宮藤官九郎、岡田利規、本谷有希子など、日本演劇を代表する劇作家が名を連ねています。

第70回の選考会は2026年2月16日(月)、東京・神保町の日本出版クラブで行われます。


選考委員

今回の選考委員は以下の7名です。

  • 市原佐都子 — 劇作家・演出家。Q(劇団)主宰
  • 上田誠 — ヨーロッパ企画代表。映画『リバー、流れないでよ』脚本
  • 岡田利規 — チェルフィッチュ主宰。現代口語演劇の旗手
  • タニノクロウ — 庭劇団ペニノ主宰。独自の世界観で知られる
  • 野田秀樹 — NODA・MAP主宰。日本演劇界の巨匠
  • 本谷有希子 — 劇作家・小説家。芥川賞受賞者
  • 矢内原美邦 — ニブロール主宰。ダンスと演劇の境界を探る

最終候補8作品

1. 石黒麻衣『季節』

劇団普通 上演

石黒麻衣は劇団普通を主宰する劇作家・演出家。「普通」の名の通り、日常の何気ない場面を丁寧に掬い取る作風で知られています。


2. 大石恵美『よだれ観覧車』

大石恵美は劇作家。タイトルからしてインパクトのある本作は、独特の言語感覚が光る作品。


3. 川村智基『DOGHOUSE』

ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム にて上演

川村智基は京都を拠点に活動する劇作家。35歳以下の若手を対象としたU35プログラムから生まれた作品です。


4. 島川柊『ウテルス』

東のボルゾイ 第8回公演

島川柊は東のボルゾイを主宰する劇作家・演出家。「ウテルス」(子宮)というタイトルが示すように、身体性やジェンダーに関わるテーマを扱った作品と思われます。


5. 筒井潤『唯一者とその喪失』

筒井潤はダンスや美術との領域横断的な作品を手がける演出家・劇作家。哲学的なタイトルが示す通り、思弁的な作風が特徴です。


6. 額田大志『彼方の島たちの話』

ヌトミック 上演

額田大志はヌトミックを主宰する作曲家・演出家。音楽と演劇の境界を融解させる独自のスタイルで注目を集めています。東京芸術祭での上演作品です。


7. 蓮見翔『ロマンス』

ダウ90000 第7回演劇公演

蓮見翔はダウ90000を主宰する劇作家・演出家。ダウ90000は演劇とコントの境界を自在に行き来するグループとして人気を博しています。

注目: 蓮見翔は過去にも2回(『旅館じゃないんだからさ』『また点滅に戻るだけ』)最終候補に選出されており、3度目のノミネート。今回初受賞となるか注目されています。


8. メグ忍者『Eternal Labor』

オル太 上演

メグ忍者はアーティスト集団オル太のメンバー。美術とパフォーマンスの領域で活動し、演劇の枠を超えた表現で知られています。


第70回の注目ポイント

ダウ90000・蓮見翔は3度目の正直なるか

お笑いと演劇の境界で活動するダウ90000は、テレビやYouTubeでも注目を集める存在。蓮見翔は過去2回の最終候補入りを経て、今回が3回目の挑戦です。お笑い出身の劇作家が「演劇界の芥川賞」を受賞すれば、大きなニュースとなるでしょう。

地域の多様性

京都(川村智基)、東京以外を拠点とする劇作家が候補に入っていることも注目点です。U35プログラムからの候補入りは、地域の創作支援が成果を上げていることの証です。

ジャンルの多様性

音楽×演劇(額田大志)、美術×パフォーマンス(メグ忍者)、コント×演劇(蓮見翔)など、演劇の境界を拡張する作品が多く候補に入っています。


候補作品を読むには

白水社のサイトでは、岸田國士戯曲賞の最終候補作品が期間限定で無料公開されることがあります。第70回は2026年2月8日〜2月17日の期間に公開されています。

白水社 岸田國士戯曲賞ページ

戯曲を読んだことがない方は、「読んで面白い!初心者におすすめの戯曲・脚本10選」も参考にしてください。


過去の受賞者(抜粋)

受賞者作品
第69回(2025年)安藤奎 / 笠木泉『歩かなくても棒に当たる』/『海まで100年』
第65回(2021年)山本卓卓『バナナの花は食べられる』
第60回(2016年)松原俊太郎『山山』
第55回(2011年)藤田貴大『かえりの合図、まってた食卓、 そこ、きっと、しおふる世界。』
第51回(2007年)本谷有希子『遭難、』
第49回(2005年)岡田利規『三月の5日間』

まとめ

岸田國士戯曲賞は、日本の演劇の「今」を知るための最良の指標です。

候補作品を読むことで、現代の劇作家が何をテーマに、どのような手法で表現しているかを知ることができます。戯曲を書きたい人にとっても、演出を学びたい人にとっても、最前線の作品に触れることは大きな刺激になるはずです。

選考結果は2月16日に発表されます。


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