脚本・台本の書き方入門ガイド【初心者向け】
2026-02-15
はじめに
「脚本を書いてみたいけど、何から始めればいいかわからない」
演劇部の創作脚本、文化祭のオリジナル劇、コンクール用の作品づくり——脚本を自分で書きたいと思う場面は意外と多いものです。
この記事では、脚本を書いたことがない人でも一本書き上げられるように、基本のフォーマットから構成の作り方まで解説します。
脚本の基本フォーマット
演劇の脚本(戯曲)には独自の書き方があります。小説とは異なり、**台詞(セリフ)とト書き(舞台指示)**だけで構成されます。
脚本の構成要素
タイトル: 『作品名』
作: 作者名
【登場人物】
太郎(たろう)── 高校2年生。演劇部の部長。
花子(はなこ)── 高校2年生。太郎の幼なじみ。
【第一場 放課後の教室】
幕が上がると、教室に太郎がひとりで座っている。
机の上に台本が置かれている。
太郎 (台本をめくりながら)全然セリフが頭に入らない……。
花子が教室に入ってくる。
花子 あ、太郎。まだ残ってたの?
太郎 うん。明日の通し稽古までに覚えないとまずいんだ。
花子 (笑って)私が相手役やってあげようか。
太郎、顔を上げる。
フォーマットのルール
| 要素 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 登場人物名 | 行頭に名前、全角スペースの後に台詞 | 太郎 おはよう。 |
| ト書き | 全角スペースで字下げ | 太郎、立ち上がる。 |
| 感情・動作指示 | 台詞の前にカッコで記載 | (小声で) |
| 場面の区切り | 【第○場】や暗転の指示 | 【第二場 翌朝の教室】 |
| 間(ま) | ト書きで「間」と記載 | 間。 |
脚本を書く5つのステップ
ステップ1: テーマを決める
「この作品で何を伝えたいか」を一言で言えるようにしましょう。
良い例:
- 「友情は時間で薄れるのか」
- 「本当の自分を見せることの怖さ」
悪い例:
- 「いろいろな人の人生を描きたい」(広すぎる)
- 「面白い話」(テーマではない)
テーマが明確な作品ほど、観客の心に残ります。
ステップ2: 登場人物を作る
登場人物は少ない方が書きやすいです。初めて書く場合は2〜4人をおすすめします。
各キャラクターに以下を設定しましょう。
- 名前と年齢
- 性格(一言で表せるもの)
- この物語での目的(何を求めているか)
- 弱点や葛藤
重要なのは、登場人物同士の「対立」を作ることです。全員が仲良しだと物語が動きません。
ステップ3: プロット(あらすじ)を作る
いきなり台詞を書き始めるのはNG。まずは箇条書きで物語の流れを整理しましょう。
1. 放課後の教室。太郎が一人で台本を読んでいる。
2. 花子がやってきて、練習に付き合う。
3. 太郎が本番への不安を打ち明ける。
4. 花子が「失敗してもいい」と励ます。
5. 二人で練習を再開する。幕。
この段階で起承転結を意識します。
| 構成 | 役割 | 全体の割合 |
|---|---|---|
| 起 | 状況の説明、人物の紹介 | 15〜20% |
| 承 | 物語の展開、問題の発生 | 30〜40% |
| 転 | 最大の山場、転換点 | 20〜30% |
| 結 | 解決(または余韻) | 10〜20% |
ステップ4: 台詞を書く
プロットに沿って台詞を書いていきます。
台詞を書くコツ:
- キャラクターごとに口調を変える: 丁寧語、タメ口、方言など
- 説明台詞を減らす: 状況は動作(ト書き)で見せる
- 声に出して読む: 書いた台詞は必ず音読する。不自然な言い回しに気づける
- 一つの台詞を短くする: 長い台詞は聞き取りにくい
やりがちな失敗:
✗ 太郎 僕たち2年生の演劇部員5人は、来月の文化祭に向けて
毎日放課後に練習をしているんだけど、なかなかうまく
いかなくて困っているんだ。
○ 太郎 (台本を閉じて)……ダメだ。全然入ってこない。
花子 文化祭まであと3週間だよ?
太郎 わかってる。わかってるけど……。
下の方が自然で、状況も伝わります。
ステップ5: 推敲する
書き上げたら、最低3回は読み直しましょう。
チェックリスト:
- テーマが伝わるか
- 不要な場面はないか
- 各キャラクターの台詞に個性があるか
- 上演時間は制限内か(400字詰め原稿用紙1枚 ≒ 約1分が目安)
- 声に出して読んで自然か
上演時間の目安
| 原稿用紙の枚数 | おおよその上演時間 |
|---|---|
| 10枚 | 約10分 |
| 20枚 | 約20分 |
| 30枚 | 約30分 |
| 45枚 | 約45分 |
| 60枚 | 約60分 |
ただし、間(ま)の取り方や演出によって前後します。必ず通し稽古で時間を計りましょう。
よくある質問
Q. 脚本を書く前に読んでおくべき作品は?
まずはプロの戯曲を読むことをおすすめします。「初心者におすすめの戯曲・脚本10選」を参考にしてください。
Q. 何人で演じる脚本が書きやすいですか?
初めてなら2〜3人がおすすめです。人物関係がシンプルで、物語を動かしやすいです。
Q. 書いた脚本を誰かに読んでもらいたい
信頼できる第三者(演劇経験者、先生、先輩など)に読んでもらいましょう。自分では気づけない問題点が見つかります。
まとめ
脚本を書くのに特別な才能は必要ありません。大切なのは以下の3つです。
- テーマを明確にする
- プロットを先に作る
- 声に出して読みながら推敲する
完成した脚本の上演に適した作品を探す際は、戯曲図書館で参考になる作品を検索してみてください。
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