【2025年トニー賞まとめ】受賞作品を徹底解説|演劇人なら知っておきたいブロードウェイ最新事情
2026-02-15
トニー賞とは
トニー賞(Tony Awards)は、ブロードウェイの舞台作品に贈られるアメリカ演劇界最高の賞です。映画のアカデミー賞、音楽のグラミー賞に相当する権威を持ち、毎年6月に授賞式が行われます。
日本では映画やドラマに比べて海外演劇の情報は少ないですが、トニー賞受賞作は後に日本でも上演されることが多く、演劇人なら押さえておきたい情報です。
この記事では、2025年(第78回)トニー賞の主要受賞作品を日本語で解説します。
主要部門の受賞作品
ベストプレイ(最優秀演劇作品賞)
『Purpose』 — ブランデン・ジェイコブス=ジェンキンス作
公民権運動の指導者だった父親と、その期待に応えられなかった息子たちの物語。刑務所から帰ってきた末息子が招かれざる友人を連れて実家に戻ったことで、家族の間に長年溜まっていた感情が爆発します。
注目ポイント:
- ピュリッツァー賞(戯曲部門)とのW受賞。トニー賞・ピュリッツァー賞の同時受賞は演劇界最高の栄誉
- 作者のジェイコブス=ジェンキンスはトニー賞ベストプレイを2年連続受賞。これは史上3人目の快挙
- 「公民権運動の遺産」という重いテーマを、ブラックコメディの手法で描いた構成力が高く評価された
- 演出はフィリシア・ラシャド(映画『コスビー・ショー』で知られる俳優)
日本の演劇人にとっての意義: 家族劇という普遍的な題材を通じて、社会的・政治的テーマを描く手法は、日本の劇作にも大いに参考になります。
ベストミュージカル(最優秀ミュージカル作品賞)
『Maybe Happy Ending』 — 作詞: ヒュー・パク / 作曲: ウィル・アロンソン
最多6部門受賞(ベストミュージカル、ベスト脚本、ベストスコア、主演男優賞ほか)。
近未来のソウルを舞台に、役目を終えて放置された2体のヘルパーロボット——オリバーとクレアの物語。充電器を借りに来たクレアとの出会いをきっかけに、2体は済州島への旅に出かけ、やがて「愛」を知っていきます。
注目ポイント:
- 韓国発のミュージカルがブロードウェイで最高賞を獲得した歴史的快挙
- 「ロボットが愛を知る」というSF的設定ながら、描かれるのは極めて人間的な感情
- 主演のダレン・クリス(『glee』で知られる俳優)がトニー賞主演男優賞を受賞
- 韓国で2016年に初演され、複数回の再演を経てブロードウェイに進出
日本の演劇人にとっての意義: アジア発のミュージカルがブロードウェイを制した事例として、日本のミュージカル・演劇の海外展開を考える上で重要な先例です。
ベストリバイバル(再演賞)
ミュージカル部門: 『Sunset Blvd.(サンセット大通り)』
アンドリュー・ロイド=ウェバーの名作ミュージカルを、大胆に再解釈したプロダクション。従来の豪華な舞台装置を排し、ミニマルな演出で物語の核に迫りました。
主演のニコール・シャージンガー(元プッシーキャット・ドールズ)が主演女優賞を受賞。ポップスターから舞台女優への転身が大きな話題となりました。
演劇部門: 『Eureka Day(ユリイカ・デイ)』
ジョナサン・スペクター作。小学校のワクチン義務化をめぐる保護者会の議論を描いたコメディ。
合意形成(コンセンサス方式)で物事を決めようとする善意の人々が、いかに混乱に陥るかを痛烈に風刺しています。SNSの炎上も物語に組み込まれた現代的な作品。
その他の主要受賞
| 部門 | 受賞者 | 作品 |
|---|---|---|
| 主演男優賞(演劇) | コール・エスコラ | 『Oh, Mary!』 |
| 主演女優賞(演劇) | サラ・スヌーク | 『The Picture of Dorian Gray』 |
| 主演男優賞(ミュージカル) | ダレン・クリス | 『Maybe Happy Ending』 |
| 主演女優賞(ミュージカル) | ニコール・シャージンガー | 『Sunset Blvd.』 |
| 助演女優賞(演劇) | カラ・ヤング | 『Purpose』 |
| 助演男優賞(演劇) | フランシス・ジュー | 『Yellow Face』 |
| 演出賞(演劇) | サム・ピンクルトン | 『Oh, Mary!』 |
| 演出賞(ミュージカル) | マイケル・アーデン | 『Maybe Happy Ending』 |
注目のトピック
サラ・スヌーク(『The Picture of Dorian Gray』) — HBO『サクセッション』で知られる俳優が、一人で26もの役を演じ分けるという驚異的な演技で主演女優賞を受賞。
コール・エスコラ(『Oh, Mary!』) — メアリー・トッド・リンカーン(リンカーン大統領の妻)をアルコール依存の元キャバレー歌手として描くという破天荒な設定のコメディ。ピュリッツァー賞の最終候補にもなりました。
日本で観られる?
トニー賞受賞作品は、その後日本でも上演されることがあります。
- 『サンセット大通り』— 過去に日本でも複数回上演されており、今回のリバイバル版の日本上演にも期待
- 『Maybe Happy Ending』— 韓国発のため、日本版の制作可能性あり
最新の上演情報は各劇場の公式サイトをチェックしてください。
トニー賞受賞作から学べること
トニー賞受賞作を知ることは、世界の演劇の最前線を知ることです。
- 社会的テーマの扱い方 — 『Purpose』のように、重いテーマをユーモアで包む手法
- 新しい物語の形式 — 『Maybe Happy Ending』のような異業種(K-POP文化圏)からの参入
- 古典の再解釈 — 『Sunset Blvd.』のようなミニマルな再構成
- 一人芝居の可能性 — サラ・スヌークの26役のような挑戦
海外の演劇に触れることで、自分の創作や演出に新しい視点が生まれます。
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