はじめに
一人芝居の面白さは、たった一人で舞台全体の空気を支えられるところにあります。声、間、視線の使い方がそのまま作品の強度になるぶん、脚本選びがとても重要です。
今回は、戯曲図書館に掲載されている作品の中から、一人芝居として上演候補にしやすい6本を選びました。
1. 『反復かつ連続』柴幸男
上演時間:15分 | 出演者数:1人
家族の朝食風景を少しずつ重ねていく短編です。反復される言葉と時間のずれによって、家族の気配や記憶が静かに浮かび上がります。上演では感情を盛りすぎず、反復のリズムを信じると余韻がきれいに残ります。
2. 『いまさらキスシーン』中屋敷法仁
上演時間:30分 | 出演者数:1人
憧れの先輩に会うため、女子高生が何度も走り続ける青春一人芝居です。疾走感のある語りが魅力で、学校公演や若い俳優の企画にも相性がよいです。上演では可愛さだけでなく、走り続ける切実さまで出すと芯が見えてきます。
3. 『バスで帰る女子大生』井上悠介
上演時間:30分 | 出演者数:1人
女子大生の独白が少しずつホラーへ変わっていく作品です。大きな仕掛けがなくても、語りの温度差だけで不穏さを広げられます。上演では最初から怖くしすぎず、普通の帰り道が崩れていく感覚を丁寧に積み上げたいです。
4. 『満月の夜のことでした』久野那美
上演時間:40分 | 出演者数:1人
帰り道の坂で、転がってきた満月に道をふさがれるところから始まる幻想的な一人芝居です。満月は黙ったままで、その奇妙さが日常と空想の境目をゆっくり曖昧にしていきます。上演では説明を急がず、不思議さをそのまま受け止める呼吸が大切です。
5. 『たたかう女』坂手洋二
上演時間:70分 | 出演者数:1人
ラジオスタジオで放送を続ける女性DJを描く作品です。映画紹介や迷惑電話の応対を続けるうちに、状況が少しずつ奇妙な方向へずれていきます。上演では声の仕事のリアリティが重要で、マイク前での呼吸や切り替えを詰めると強くなります。
6. 『夢を見る』石原燃
上演時間:90分 | 出演者数:1人
1971年に出会った女性ヘルとの記憶をたどりながら、従軍慰安婦として生きた彼女の過去に向き合っていく作品です。静かな独白の中に重い歴史が積み上がっていきます。上演では説明にせず、語り手が今ここで思い返している時間として届けることが大切です。
一人芝居の戯曲を選ぶときのガイド
語りの推進力があるか
一人芝居では、語りそのものに前へ進む力が必要です。テンポなら『いまさらキスシーン』、構成なら『反復かつ連続』、不穏さなら『バスで帰る女子大生』が選びやすいです。
俳優の個性と作品の距離
一人芝居は俳優の個性が強く出ます。勢いなら『いまさらキスシーン』、静かな集中力なら『満月の夜のことでした』、声のニュアンスなら『たたかう女』が向いています。誰が立つかを前提に選ぶと失敗しにくいです。
何を持ち帰ってほしいか
軽やかな余韻を残すのか、怖さを残すのか、社会的な問いを残すのかで選ぶ作品は変わります。短く印象を残したいなら『反復かつ連続』、緊張感なら『バスで帰る女子大生』、重いテーマなら『夢を見る』が有力です。
まとめ
一人芝居は、俳優一人の存在でどこまで世界を立ち上げられるかを試せる形式です。気になる一本があれば、各作品ページで上演時間や内容を見比べながら、自分たちの企画に合う一人芝居を探してみてください。
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この記事で紹介した戯曲
Written by
戯曲図書館 編集部
演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。
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