コンビニから帰る坂道。歩いていると前方から何かが転がって来る。それは満月だった。道を完全にふさがれてしまい面食らう私だったが、そのうち何となく道の先にあるパン工場の話を始めてしまう。だが、満月は返事をすることはない。ただじっと私を眺めるばかりである。
坂道を転がって来た満月との話です。主人公である私は満月に色々話しかけます。私はそれとなく満月に話しかけるのですが、満月は一切答えません。この非日常的な描写から、まるで童話のような印象を受けました。それでも私は話を続けていき、坂道の先にあるパン工場のことを話し始めます。友人から聞いたパン工場の話をするのですが、その結末はとても奇妙なものです。そのことを確かめたくない私に対して、満月は全く気にすることなくそのままパン工場へと転がっていきます。この満月の態度は自然の雄大さを感じることができました。そして満月は夜空へと帰っていくのですが、それを見ている私のセリフも幻想的で私は好きです。
久野 那美(くの なみ)さんは、兵庫県出身で大阪府在住の劇作家・演出家です。演劇ユニット「階」を主宰し、公演ごとにユニット名を更新する独特のスタイルで活動しています。詩的で美しい台詞と巧妙な物語構成が特徴です。
久野さんは、高校時代に友人と演劇部を立ち上げ、演劇活動を開始しました。劇作家としての道を歩み始め、詩的な台詞や多重構造の物語が評価されています。戯曲は全国の高校演劇大会や学生劇団などで数多く上演されています。
久野さんの作品は、日常の中にある非日常や人間関係の微妙な感情を巧みに描いています。
久野さんは、その独特の作風と高い文学性でいくつかの賞を受賞しています。
久野さんは、劇作だけでなく、高校演劇や学生劇団への戯曲提供や講演活動なども行い、若手劇作家の育成や演劇文化の普及に貢献しています。
(2025年3月現在)