舞台はラジオのスタジオ。そこでは一人の女性DJが放送をしていた。海外の映画を紹介するというコーナーを担当している。時に迷惑電話に対応しながらも懸命に放送を続ける彼女だったが、物語が進んでいくうちに徐々に奇妙な状況であることが明らかになる。
読んでいてとても引き込まれていく物語です。序盤の映画が紹介されて放送されている部分はとても臨場感があります。最初はただのラジオ放送の様子が描かれるのですが、次第に不穏な空気になっていきます。スタジオから出られなかったり、机の下に日用品が散乱していたりします。さらに、そこにはスタッフが一人もおらず、彼女がただ一人で放送をしていることもわかります。さらに、時々かかってくる電話での会話もとても奇妙です。 このように、ただのスタジオから非日常の空間へと変わっていく様子が見事に描かれています。そしてお便りのはがきの中から、かつてのスタッフが書いたものが見つかり、そこで大方の真相が明らかになります。そこで初めてたたかう女というタイトルの意味がわかります。ですが、女性の過去や男性とのかかわりなど、すべては明らかにされません。そのため想像する余地がかなりある作品であると思いました。
坂手 洋二(さかて ようじ)さんは、日本の劇作家、演出家で、劇団「燐光群(りんこうぐん)」の主宰者です。1958年9月4日、東京都に生まれ、1983年に「燐光群」を結成して以来、社会問題や政治的テーマを扱った作品を多く手掛けてきました。彼の作品は鋭い社会批評と人間描写が特徴で、国内外で高い評価を受けています。
坂手さんは、1983年に劇団「燐光群」を結成し、以降、全作品の脚本と演出を担当されています。彼の作品は戦争、核、環境問題、労働者の権利といった社会的テーマを積極的に取り上げており、観客に強いメッセージを届けています。また、2000年からは「アジアの演劇人ネットワーク」を設立し、アジア各国の演劇人との交流を深めています。
坂手さんの作品は、ドキュメンタリータッチで描かれる現実社会の問題を題材にしたものが多いです。特に、戦争や労働問題をテーマにした作品が高く評価されています。
坂手さんは、その社会性と鋭い批評精神に満ちた作品で数々の賞を受賞されています。
坂手さんは、社会活動にも積極的に取り組んでいます。特に、反戦運動や平和活動、人権擁護に関わる活動を精力的に行っています。また、各地での講演やシンポジウムへの参加を通じて、演劇の力で社会に働きかけ続けています。
(2025年3月現在)