演劇の上演許可の取り方完全ガイド【著作権の基礎知識】

2026-02-15

上演許可著作権演劇脚本ガイド

なぜ上演許可が必要なのか

他人が書いた脚本を上演する場合、著作権者(作者)の許可が必要です。これは著作権法で定められた「上演権」に基づくものです。

「文化祭でちょっとやるだけだから…」「入場無料だし…」と思うかもしれませんが、無料公演であっても上演許可は必要です。

許可なく上演すると、著作権法違反となる可能性があります。


上演許可が必要なケース・不要なケース

上演許可が必要

  • 既成脚本(プロ・アマチュアを問わず他人が書いた脚本)を使う場合
  • 小説や映画を脚色(翻案)して上演する場合
  • 既存の楽曲を劇中で使用する場合(音楽の著作権)

上演許可が不要

  • 自分(部員・団員)が書いたオリジナル脚本を上演する場合
  • 著作権が消滅した作品(著作者の死後70年が経過した作品)を上演する場合
    • 例: シェイクスピア、チェーホフなどの古典作品
    • ただし「翻訳」には翻訳者の著作権があるため、翻訳版を使う場合は注意
  • 「上演フリー」と明記された作品を利用規約の範囲内で上演する場合

上演許可の取り方

ステップ1: 著作権者(権利者)を確認する

脚本の著作権は通常、作者本人が持っていますが、管理を出版社や著作権管理団体に委託している場合があります。

権利者連絡先の探し方
作者本人公式サイト、SNS、出版社経由
出版社脚本が出版されている場合、奥付に記載
劇団劇団所属の劇作家の場合、劇団に連絡
著作権管理団体日本劇作家協会、JASRAC(音楽の場合)など

ステップ2: 上演許可を申請する

連絡先がわかったら、以下の情報を添えて申請します。

申請時に伝える内容:

  1. 団体名(演劇部名、劇団名など)
  2. 上演作品名
  3. 上演日時と会場
  4. 上演回数
  5. 入場料の有無と金額
  6. 客席数(想定観客数)
  7. 台本の改変の有無(台詞のカット、設定変更など)
  8. 連絡先(担当者名、メールアドレス、電話番号)

メールの例文:

件名: 『○○○○』上演許可のお願い

○○様

はじめまして。△△高校演劇部の□□と申します。

この度、○○様の作品『○○○○』を以下の通り上演させていただきたく、
許可をお願いしたくご連絡いたしました。

■ 上演日時: 2026年○月○日(○)
■ 会場: △△高校 体育館
■ 上演回数: 1回
■ 入場料: 無料(校内文化祭として実施)
■ 想定観客数: 約200名
■ 台本の改変: 上演時間の関係で一部カットさせていただく可能性があります

上演料等の条件がございましたら、ご教示いただければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。

△△高校演劇部 □□
メール: [email protected]
電話: 0xx-xxxx-xxxx

ステップ3: 許可を得て上演料を支払う

作者から許可が出たら、指定の上演料を支払います。


上演料の相場

上演料は作品や権利者によって大きく異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

上演の種類上演料の目安
高校演劇コンクール無料〜5,000円
文化祭(入場無料)無料〜10,000円
アマチュア劇団の自主公演(有料)5,000円〜30,000円
プロの商業公演興行収入の一定割合(5〜10%が目安)

注意: 上記はあくまで目安です。作者や管理団体によって異なるため、必ず直接確認してください。


台本の改変(カット・アレンジ)について

台詞のカット

上演時間の制約で台詞をカットする場合、必ず作者の許可を取りましょう。許可なくカットすると著作者人格権(同一性保持権)の侵害にあたる可能性があります。

設定の変更

登場人物の性別を変更したり、時代設定を変えたりする場合も、作者の許可が必要です。

「自由に改変OK」の作品

一部の作品は「上演時のカット・改変自由」と明記されています。このような作品なら改変の許可を別途取る必要はありませんが、作品のクレジット(作者名の表示)は必ず行いましょう。


音楽の著作権

劇中で既存の楽曲を使用する場合、音楽の著作権にも注意が必要です。

JASRACへの申請が必要なケース

  • 劇中のBGMとして既存の楽曲を流す場合
  • 劇中で歌を歌う場合
  • 有料公演の場合

申請不要のケース

  • 学校の授業の一環として行われる文化祭(営利目的でないもの)
  • 著作権フリーの音源を使用する場合
  • オリジナル楽曲を使用する場合

よくあるトラブルと対策

「許可が間に合わない」

対策: 公演の2〜3ヶ月前には申請しましょう。特に有名な劇作家の場合、管理団体を通じた手続きに時間がかかることがあります。

「連絡先がわからない」

対策: 以下の順番で探しましょう。

  1. 作者の公式サイト・SNS
  2. 脚本が掲載されている出版社
  3. 日本劇作家協会に問い合わせ
  4. 戯曲図書館の作者ページにリンクがある場合も

「上演料が高すぎる」

対策: 状況を正直に伝えましょう。学生の文化祭など非営利の上演であれば、減額や無料で許可してくれる作者も少なくありません。

「許可が下りなかった」

対策: 残念ですが、他の作品に切り替えましょう。作者には上演を拒否する権利があります。


まとめ

上演許可は面倒に感じるかもしれませんが、作者の創作活動を支える大切な仕組みです。

  1. 他人の脚本を使うなら、必ず上演許可を取る
  2. 公演の2〜3ヶ月前に申請する
  3. 上演料・改変の条件を事前に確認する
  4. 許可を得たら、パンフレットに作者名を明記する

上演許可の心配がないオリジナル脚本や、上演フリーの作品を探すなら戯曲図書館をご活用ください。


関連記事