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小里清 プロフィール|「国語の時間」など岸田國士戯曲賞ノミネート4回を数える現代演劇ユニット「フラジャイル」の劇作家

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小里清 プロフィール|「国語の時間」など岸田國士戯曲賞ノミネート4回を数える現代演劇ユニット「フラジャイル」の劇作家

小里清(おり きよし)さんは、1972年に岐阜県でお生まれになり、1998年に現代演劇ユニット「フラジャイル」を結成されて以降、東京を主な活動地として戯曲を書き続けておられる劇作家です。2000年に「Hip Hop Typhoon ~少女には死にたがるクセがある~」で第6回劇作家協会新人戯曲賞を受賞され、以後「BRIDGE」「アルバートを探せ」「国語の時間」の3作品で岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされた、現代日本の中堅劇作家を代表する書き手のお一人です。社会のひずみを抱えた少年少女の内面や、植民地統治下の朝鮮といった歴史の暗部に光を当てる重厚なテーマを、ユニット名「フラジャイル(=壊れやすい)」が示す繊細な人物造形で立ち上げていくのが、小里さんの戯曲の大きな特徴です。

この記事では、公開情報をもとに、小里清さんの経歴、作風、受賞歴、代表作、そして戯曲図書館で読める作品を整理してご紹介します。

基本プロフィール

項目内容
名前小里 清(おり きよし)
生年1972年
出身地岐阜県
主な活動地域東京都
主宰ユニット現代演劇ユニット「フラジャイル」(1998年結成)
主な肩書劇作家
主な受賞歴第6回劇作家協会新人戯曲賞(「Hip Hop Typhoon」)
主なノミネート岸田國士戯曲賞最終候補 4回(「Hip Hop Typhoon」「BRIDGE」「アルバートを探せ」「国語の時間」)
関連ページ戯曲図書館の著者ページ

経歴

小里さんは1972年に岐阜県でお生まれになりました。現在は東京都を主な活動地域とされ、劇作家としての仕事を続けておられます。

劇作家としての出発点となるのが、1998年の現代演劇ユニット「フラジャイル」結成です。ユニット名は英語で「壊れやすい・もろい」を意味する "fragile" に由来しており、名前そのものが小里さんの描く世界の肌触りを予告しています。以後、小里さんは一貫してフラジャイルを創作の拠点とされ、ユニット公演のための戯曲を書き続けてこられました。

結成からわずか2年後の2000年、小里さんは代表作のひとつとなる「Hip Hop Typhoon ~少女には死にたがるクセがある~」で第6回劇作家協会新人戯曲賞を受賞され、劇作家としての存在を広く印象づけられます。日本劇作家協会が主催するこの賞は、未発表の新人戯曲を対象とする登竜門として知られる賞で、授賞を機に小里さんの戯曲は全国的な注目を集めることになりました。

その後も小里さんは2000年代前半から2010年代にかけて、現代演劇の主要賞のひとつである岸田國士戯曲賞の最終候補に繰り返しノミネートされておられます。2000年の「Hip Hop Typhoon」、2004年の「BRIDGE」、2006年の「アルバートを探せ」、そして2014年の「国語の時間」と、4度にわたって最終候補に残っておられ、ノミネートの回数の多さそのものが、小里さんの戯曲が同時代の演劇界で継続的に評価されてきた証となっています。

近年は、海外公演や日本国外での上演にもつながる動きがあります。代表作「国語の時間」は日本語版の上演にとどまらず、国際交流基金が運営する「Performing Arts Network Japan」の英語媒体でもあらすじが詳細に紹介されており、1940年代朝鮮を題材にしたこの戯曲が、日本国内のみならず海外の読者・観客にも開かれた作品として扱われていることが分かります。

作風

小里さんの作風を一言で表すなら、「壊れやすい人間の内面を、硬質な歴史と社会のなかに置き直す劇作」ということができます。ユニット名「フラジャイル」が示すように、小里さんが書く登場人物の多くは、どこかに脆さを抱え込んだ人々です。少女、植民地下の朝鮮の人々、追い詰められた教師、名前と出自を書き換えて生きる人物など、立場や時代は異なっても、「このまま押せば壊れてしまう」緊張感をはらんだ存在として立ち上げられていきます。

その繊細な人物造形は、小里さんが選ぶ題材の硬さと鋭いコントラストを描き出します。初期の代表作「Hip Hop Typhoon ~少女には死にたがるクセがある~」では、副題にあるとおり「死にたがる」衝動を抱えた少女が主人公に据えられ、ヒップホップカルチャーが象徴する速度や言語感覚と、思春期の自傷的なまでの内面とが衝突する青春劇として組み立てられています。登龍門として知られる劇作家協会新人戯曲賞を射止めた作品らしく、言葉の切れ味と若い登場人物のリアリティが同居した一作です。

一方で、小里さんは歴史に深く分け入って書く劇作家でもあります。岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされた「国語の時間(原題:国語の時間 1940-1945京城)」では、1940年代前半の日本統治下の京城(現在のソウル)の小学校を舞台に、朝鮮語を使うことが禁じられていく時代のなかで「国語」を教えること・教わることをめぐる人々の葛藤が描かれます。日本名を名乗る朝鮮総督府役人、朝鮮語保存の研究会に関わる教師、朝鮮名を奪われた父子、名前と戸籍を売り買いする人々——登場人物それぞれが、母語と国家語のあいだで引き裂かれていく姿が重層的に積み重ねられ、植民地統治下の「言葉の暴力」を、教室という日常の場で突きつけてくる構造が見事です。「Performing Arts Network Japan」の作品紹介では、小里さんがこの戯曲の執筆のために3年以上にわたる取材・調査を重ねられたことも伝えられており、この一作に注がれたリサーチの密度の高さがうかがえます。

このほか、「BRIDGE」や「アルバートを探せ」など、岸田國士戯曲賞最終候補に残った作品群も含めて、小里さんの戯曲には、現代社会のゆがみや歴史の暗部といった「大きな題材」を、個人の身体と声に落とし込んで描き切ろうとする姿勢が貫かれています。壊れやすさを抱えた人間を主人公に据え、彼らを押しつぶそうとする社会・時代・言語を同時に描くことで、観客に静かな戦慄を残す戯曲群が、小里さんの作家としての核をかたちづくっています。

受賞歴・ノミネート歴

小里さんのこれまでの主な受賞歴とノミネート歴は、以下のとおりです。

  • 2000年 第6回劇作家協会新人戯曲賞 受賞(「Hip Hop Typhoon ~少女には死にたがるクセがある~」)
  • 2000年 岸田國士戯曲賞 最終候補ノミネート(「Hip Hop Typhoon ~少女には死にたがるクセがある~」)
  • 2004年 岸田國士戯曲賞 最終候補ノミネート(「BRIDGE」)
  • 2006年 岸田國士戯曲賞 最終候補ノミネート(「アルバートを探せ」)
  • 2014年 岸田國士戯曲賞 最終候補ノミネート(「国語の時間」)

劇作家協会新人戯曲賞の受賞から岸田國士戯曲賞最終候補4回という道のりは、小里さんが「新人の登竜門」をくぐり抜けた後、長きにわたって現代演劇の最前線で評価され続けていることを示しています。

代表作と戯曲図書館で読める作品

小里さんの戯曲のうち、戯曲図書館では以下の作品を読むことができます。いずれも現代演劇ユニット「フラジャイル」の活動のなかから生まれた作品であり、小里さんの作劇の幅を知るのに格好のラインナップです。

  • 国語の時間 1940-1945京城:1940年代前半、日本の植民地統治下にあった京城(現ソウル)の小学校を舞台に、「国語」をめぐって織りなされる朝鮮の人々の悲喜劇です。上演時間2時間〜3時間、上演人数10人の時代劇として構成され、朝鮮名を奪われた父と、日本名で総督府役人となった幼なじみの再会、朝鮮語保存運動に関わる教師たちなど、名前と言葉をめぐる葛藤が重層的に描かれます。岸田國士戯曲賞最終候補作で、国際交流基金の英語媒体でもあらすじが詳細に紹介されている小里さんの代表作のひとつです。
  • 国語の時間:同じく「国語」をめぐるテーマを扱った小里さんの戯曲で、「国語の時間 1940-1945京城」とあわせて読むことで、母語と国家語というモチーフが小里さんの創作のなかでどのように重ねられ、磨かれてきたかを見通すことができます。
  • Hip Hop Typhoon:「少女には死にたがるクセがある」という副題を持つ、小里さんの出世作です。2000年に第6回劇作家協会新人戯曲賞を受賞され、同じ年の岸田國士戯曲賞最終候補にもノミネートされた一作で、ヒップホップカルチャーの速度と、死の衝動と隣り合わせの思春期とが交差する青春群像劇です。
  • アナトミア:「解剖」を意味する言葉を題名に冠した戯曲で、「Hip Hop Typhoon」「国語の時間」と並ぶ小里さんのフラジャイル期の代表作のひとつです。小里さんが人間の身体や内面をどのように劇の俎上にのせて解きほぐしていくかを味わえる作品です。

戯曲図書館の小里清さんの著者ページでは、これらの作品の一覧を確認することができます。

近年の活動

近年の小里さんは、現代演劇ユニット「フラジャイル」を主宰する劇作家として、戯曲執筆を軸に据えた活動を続けておられます。2014年には「国語の時間」が岸田國士戯曲賞最終候補に選ばれ、長年取り組んでこられた植民地統治下の朝鮮をめぐる題材が、ふたたび現代演劇の主要賞の俎上にのりました。日本劇作家協会が運営する戯曲デジタルアーカイブでは、「国語の時間 1940-1945京城」の作品ページから戯曲本文を読むことができるようになっており、劇作家として書かれた言葉が、紙の書籍にとどまらずデジタル環境のなかでも読者・上演者に開かれています。

また、国際交流基金の「Performing Arts Network Japan」など日本国外に向けた媒体でも「国語の時間」が紹介されており、日本の現代演劇を海外に伝える文脈のなかでも、小里さんの戯曲が重要な位置を占めていることが分かります。公式サイトや積極的なSNS発信は確認できませんが、作品そのものがさまざまな経路で読者・観客のもとへ届き続けている劇作家です。

まとめ

小里清さんは、1998年に現代演劇ユニット「フラジャイル」を結成されて以降、繊細な人物造形と重厚な社会・歴史テーマとを掛け合わせた戯曲を書き続けてこられた劇作家です。2000年には「Hip Hop Typhoon」で第6回劇作家協会新人戯曲賞を受賞され、以後「BRIDGE」「アルバートを探せ」「国語の時間」の3作品で岸田國士戯曲賞最終候補に残るなど、現代演劇の最前線で長く評価されてきた書き手でもあります。戯曲図書館では、「国語の時間 1940-1945京城」・「Hip Hop Typhoon」・「アナトミア」などの戯曲を通して、小里さんが描く「壊れやすい人間と硬質な歴史」の交点を読むことができます。母語と国家語、少年少女の内面と社会の圧力——小里さんの戯曲は、現代日本の演劇が引き受けてきた題材の広がりを静かに教えてくれる作品群です。

この記事で紹介した戯曲

Written by

戯曲図書館 編集部

演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。

公開日: 2026-10-09

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