上田誠 プロフィール|ヨーロッパ企画を率いる劇作家の発想力と時間SFの系譜
2026-02-21
上田誠 プロフィール|ヨーロッパ企画を率いる劇作家の発想力と時間SFの系譜
上田誠さんは、劇団「ヨーロッパ企画」の代表として、舞台・映像・アニメを横断しながら独自の言語感覚を築いてきた劇作家・演出家です。日常の会話に奇想を組み合わせる作風、特に「時間」や「空間」のルールを遊びに変える発想で、多くの観客を惹きつけています。
この記事では、上田誠さんの基本情報、創作の特徴、代表作、近年の活動までを整理します。戯曲図書館に掲載されている関連作品へのリンクもあわせて紹介します。
基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 上田 誠(うえだ まこと) |
| 生年月日 | 1979年11月4日 |
| 出身地 | 京都府 |
| 主な肩書 | 劇作家・演出家・脚本家 |
| 主な活動体制 | ヨーロッパ企画(代表・作・演出) |
| 関連ページ | 戯曲図書館の著者ページ |
経歴のポイント
上田さんは同志社大学在学中にヨーロッパ企画を旗揚げし、以後、劇団の本公演で継続的に作・演出を担ってきました。小劇場のスケール感を活かしながら、SF設定やメタ視点を日常会話の中に自然に混ぜ込む作劇は、2000年代以降の関西発演劇を語るうえで重要な流れのひとつです。
舞台だけでなく、映画脚本、テレビドラマ、アニメ脚本へと活動領域を広げている点も大きな特徴です。特に「サマータイムマシン・ブルース」「曲がれ!スプーン」「ドロステのはてで僕ら」「リバー、流れないでよ」など、時間や構造そのものを面白さに変える作品群は、上田さんの創作姿勢を象徴しています。
また、2017年には『来てけつかるべき新世界』で第61回岸田國士戯曲賞を受賞し、劇作家としての評価を決定づけました。舞台で鍛えた言葉と構成力を、映像や配信作品でも更新し続けていることが、上田さんの現在地だと言えます。
作風の特徴
上田誠さんの作品には、次のような特徴があります。
- 会話のテンポが速く、説明しすぎない
- アイデアの奇抜さと人物の生活感を両立させる
- 「時間」「反復」「ずれ」を笑いとドラマの軸に置く
- 集団劇の中で各キャラクターの役割が明確
一見するとコメディの軽やかさが前面に出ますが、実際には情報設計が非常に緻密です。設定を積み上げるだけでなく、俳優の動線や台詞の受け渡しまで含めて、舞台上で理解できるように設計されています。そのため、上演側にとっては「面白さ」と同時に「構造をどう立ち上げるか」が大切になる作家です。
戯曲図書館に掲載されている主な作品
戯曲図書館は、戯曲の情報をまとめたサイトです。上田誠さんの作品ページでは、上演人数や上演時間などの基礎情報を確認できます。
- 曲がれ!スプーン
- 日常と超常の境界を軽やかに行き来する、上田作品らしい発想が詰まった一本です。
- 来てけつかるべき新世界
- 第61回岸田國士戯曲賞受賞作。笑いの速度と社会への視線が高い密度で同居しています。
まずは上記2作品の情報を見比べると、上田さんの「エンタメ性」と「批評性」の両輪がつかみやすくなります。
受賞歴と評価
上田さんは、戯曲分野での受賞に加えて、映像分野でも高い評価を得ています。代表的なトピックとしては、以下が挙げられます。
- 『来てけつかるべき新世界』で第61回岸田國士戯曲賞(2017年)
- 脚本参加した『四畳半神話大系』が第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞
- 『リバー、流れないでよ』で第33回日本映画批評家大賞 脚本賞(2024年)
このように、劇作家としての評価を軸にしながら、アニメ・映画脚本でも成果を重ねている点が上田さんの強みです。メディアが変わっても、構造へのこだわりと会話の鋭さが一貫しています。
最新の活動(2025〜2026)
公式プロフィールおよび舞台ニュースでは、2025年上演の『リプリー、あいにくの宇宙ね』で脚本・演出を担当したこと、さらにヨーロッパ企画第44回公演『インターネ島エクスプローラー』が2025年末から2026年にかけて全国ツアーで展開されたことが確認できます。
『インターネ島エクスプローラー』は、上田さん自身が「冒険」をテーマに掲げた新作で、劇団員と客演陣を含む編成で上演されました。近年の上田さんは、劇団本公演と外部企画を往復しながら、舞台の現場でしか生まれない反応を更新し続けている印象です。
上演検討時に押さえたいポイント
上田作品の情報を確認する際は、次の観点で整理しておくと、稽古計画まで見通しが立てやすくなります。
-
会話の速度と間の設計
台詞のやり取りが早く、言葉のテンポで笑いが立ち上がる場面が多いため、文字情報だけでなく発話リズムを想定した読み込みが重要です。句読点が少ない箇所や、ツッコミの返しが連続する場面は、俳優の呼吸が作品の質に直結します。 -
設定説明の見せ方
上田作品は奇想天外な設定を扱いますが、登場人物が長く説明するより、状況の連鎖で理解させる構成が目立ちます。上演時は「情報を語る」より「情報が起こる」ように見せることがポイントになります。 -
群像のバランス
主役だけでなく、周辺人物の反応が連鎖して面白さが増幅する設計が多いです。キャラクターの温度差や立場の差を明確にすると、舞台全体の立体感が出やすくなります。 -
ジャンルの横断性
コメディとして楽しめる一方で、社会の空気や時代の不安が下層に流れていることも多く、単純な「明るい作品」として処理しないほうが解像度が上がります。笑いの奥にある視線を拾うことが、上田作品を上演する価値につながります。
読者・上演者にとっての上田誠作品の魅力
上田誠さんの作品が広い層に支持される理由は、専門的な演劇知識がなくても入口を見つけやすい点にあります。まずは会話の面白さや展開の意外性で引き込み、その先で人物の関係性や社会的テーマに触れられるため、初見でも置いていかれにくいのです。
一方で、作り手の側から見ると非常に技巧的です。設定を成立させるロジック、キャラクター配置、笑いのタイミング、物語の回収までが精密に設計されているため、読むほどに「なぜここでこの台詞なのか」が見えてきます。上演を目指す団体にとっては、コメディの実践と戯曲分析を同時に深められる作家だと言えます。
また、上田さんは劇団公演だけでなく、外部企画・配信・映像脚本などを通じて、表現フォーマットの違いに応じた語り方を更新し続けています。これは、現代の劇作家がどのように活動領域を広げるかを考えるうえでも、非常に参考になるキャリアです。
まとめ
上田誠さんは、関西小劇場の文脈から出発しながら、舞台・映像・アニメで共通する「構造的なおもしろさ」を磨いてきた劇作家です。アイデア先行に見えて、実際には人物と会話の設計が細かく、上演を想定した戯曲としての強度が高いことが大きな魅力です。
戯曲図書館で情報をたどる際は、著者ページから代表作を確認し、人数・上演時間・内容傾向を比較しながら検討すると、作品選びがしやすくなります。上田作品に初めて触れる方は、『曲がれ!スプーン』から入り、『来てけつかるべき新世界』へ進む流れがおすすめです。
