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兼島拓也プロフィール|沖縄の現在と記憶を言葉にする劇作家

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#兼島拓也#劇作家#チョコ泥棒#ライカムで待っとく#花売の縁オン(ザ)ライン#プロフィール
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兼島拓也プロフィール|沖縄の現在と記憶を言葉にする劇作家

兼島拓也さんは、沖縄を拠点に、土地の記憶と現在の生活を会話劇として描いてきた劇作家・演出家です。沖縄県出身の若い世代が使う言葉の感触、基地や戦争の記憶が日常に残している影、そして「知っているつもり」のままでは済まされない歴史との距離を、観客の前に具体的な人物として立ち上げてきました。

代表作の一つである『ライカムで待っとく』は、沖縄本土復帰50年の節目にKAAT神奈川芸術劇場で初演され、現代と米統治下の沖縄を往復する構成で大きな注目を集めました。2022年の第30回読売演劇大賞では優秀作品賞を受賞し、第26回鶴屋南北戯曲賞と第67回岸田國士戯曲賞でも最終候補となっています。この記事では、兼島さんの歩み、作風、主な作品、受賞歴、そして2026年の活動を紹介します。

基本プロフィール

  • 名前:兼島拓也(かねしま・たくや)
  • 生年:1989年
  • 出身・活動拠点:沖縄県、沖縄在住
  • 肩書:劇作家・演出家
  • 主な活動:演劇グループ「チョコ泥棒」、演劇ユニット「玉どろぼう」

兼島さんは2013年に演劇グループ「チョコ泥棒」を結成し、脚本と演出を担当してきました。梅田芸術劇場の公式プロフィールでは、沖縄の若者言葉を用いた会話劇を得意とし、コメディやミステリを軸にオリジナル作品を発表している作家として紹介されています。また、琉球舞踊家の玉城匠さんと「玉どろぼう」として活動し、演劇だけでは届きにくい沖縄の身体感覚や芸能の層にも接続してきました。

劇作家としての出発と受賞歴

兼島さんの活動を語るうえで、沖縄県内の文学・演劇環境との結びつきは欠かせません。2018年には『Folklore(フォークロア)』で第14回おきなわ文学賞シナリオ・戯曲部門の一席を受賞しました。この賞は、沖縄で書かれる言葉や物語を広く紹介する場でもあり、兼島さんが地域に根を張りながら創作を続けてきたことを示す重要な節目です。ほかにも同賞で佳作に選ばれた作品があります。

2021年には、NHK-FMシアターの『ふしぎの国のハイサイ食堂』で第31回オーディオドラマ奨励賞に入選しました。舞台劇だけでなく、音だけで場所や人物を立ち上げるラジオドラマにも取り組んだことで、兼島さんの会話と構成の力はさらに広がりました。声、間、方言、聞き手の想像力を組み合わせるラジオドラマは、兼島さんの作劇を知るうえでも興味深い仕事です。

『ライカムで待っとく』が示したもの

兼島さんの代表作としてまず挙げられるのが、『ライカムで待っとく』です。作品は、アメリカ占領下の1964年に沖縄で起きた米兵殺傷事件に着想を得ています。KAAT神奈川芸術劇場の企画制作による初演では、現代の沖縄や横浜で暮らす人物と、過去の事件をめぐる記憶が交差しました。

この戯曲の特徴は、歴史的事件を一方向から説明するのではなく、複数の立場にいる人々の会話とためらいを通して、記憶の複雑さを浮かび上がらせる点にあります。被害と加害、沖縄と本土、知っている人と知らない人という関係は、簡単に整理できるものではありません。登場人物が発する何気ない言葉のなかに、諦め、怒り、居心地の悪さ、そして他者に理解されたいという願いが重なっています。

神奈川芸術プレスの取材で兼島さんは、資料調査や専門家への取材、沖縄・横須賀・東京に暮らす人々への聞き取りをもとに、約1年をかけて執筆したと語っています。つまりこの作品は、歴史を題材にした劇作家の想像だけで作られたものではなく、現在を生きる人の声を聞く過程から形になった戯曲です。読売演劇大賞の優秀作品賞を受賞したことも、作品の社会的な題材だけでなく、舞台作品としての構成と表現が評価された結果だと言えます。

2024年には再演も行われました。初演で提示された問いを、別の時期、別の観客、別の俳優との関係のなかで再び立ち上げたことは、この戯曲が一度きりの時事作品ではなく、上演を重ねることで意味を更新できる作品であることを示しています。

『花売の縁オン(ザ)ライン』と現代のつながり

もう一つ、兼島さんの現在を知るうえで重要なのが、『花売の縁オン(ザ)ライン』です。梅田芸術劇場の公式プロフィールによると、兼島さんが作・共同演出を手掛けたこの作品は、第69回岸田國士戯曲賞の最終候補となりました。タイトルに含まれる「オン(ザ)ライン」という響きが示すように、現代の通信環境やオンライン上のつながりを思わせる要素と、沖縄に積み重なってきた文化・記憶が交差する作品です。

『ライカムで待っとく』が歴史的な事件と現在の生活の距離を問い直した作品だとすれば、『花売の縁オン(ザ)ライン』では、人と人がつながる技術そのものが、記憶や文化をどう受け渡すのかという問題へ関心が広がっています。現代的な装置を取り入れても、兼島さんの中心にあるのは、土地に生きる人が何を語り、何を語らず、どのように他者と関係を結ぶのかという問いです。

兼島拓也の作風

兼島さんの作風には、いくつかの特徴があります。

沖縄の若者言葉を生かした会話

沖縄を舞台にする作品では、方言や若者言葉が単なる雰囲気づくりとして置かれているわけではありません。言葉の選び方や間の取り方によって、人物の世代、育った環境、相手との距離が伝わります。観客にとって聞き慣れない言葉が出てきても、会話の流れのなかで感情が届くように設計されている点が魅力です。

歴史を現在の会話に変える構成

過去の出来事を年表のように説明するのではなく、いまを生きる人物の迷いや衝突として提示することも重要です。観客は「過去を知る」だけでなく、過去が現在の人間関係にどのような影を落としているのかを体験します。そのため、作品の問いは舞台上だけで完結せず、観客自身の立場や記憶にも返ってきます。

コメディと痛みの同居

チョコ泥棒での活動歴が示すように、兼島さんはコメディやミステリにも取り組んできました。しかし、笑いは重い題材から逃げるためのものではありません。人物の可笑しさや会話のずれがあるからこそ、観客は登場人物を遠い記号ではなく、生活する人として受け止められます。笑いと痛みが同じ場面に存在することが、兼島作品の大きな特徴です。

2026年の活動と今後

2026年10月23日現在、兼島さんは那覇文化芸術劇場なはーとの開館5周年記念事業として、栗山民也さんと組んだ新作『終わりの代わりに』を発表しています。梅田芸術劇場の公式案内によると、10月23日から25日まで、なはーとの小劇場で上演されます。沖縄を拠点にする劇作家が、地域の劇場と新作を立ち上げるこの活動は、兼島さんの創作が全国公演だけでなく、沖縄の文化施設と観客に根を下ろして進んでいることを示します。

また、2026年度はセゾン文化財団のセゾン・フェローにも選ばれています。助成やフェローシップは、作家が取材、執筆、試演、上演後の検証を継続するための時間を支える制度です。沖縄の地域性を出発点にしながら、国内外の観客に届く作品をどう育てていくのか。兼島さんの今後の活動では、地域に根ざした創作と、他地域・他分野との協働がどのように結びつくのかが注目されます。

まとめ

兼島拓也さんは、沖縄の若者言葉と会話のリアリティを起点に、基地、戦争、記憶、文化の継承を現代の舞台へ引き寄せてきた劇作家です。『ライカムで待っとく』では歴史的事件を現在の人間関係として描き、『花売の縁オン(ザ)ライン』では現代のつながり方へ視野を広げました。

受賞歴や大規模な公演実績だけでなく、地域の劇場や仲間との継続的な活動にも、兼島さんの創作の強さがあります。作品ページでは、『ライカムで待っとく』と『花売の縁オン(ザ)ライン』の情報を確認できます。戯曲を読むときは、沖縄について「知る」だけでなく、誰がどの場所から語り、誰の言葉が舞台に残るのかにも注目してみてください。

参考情報

この記事で紹介した戯曲

Written by

戯曲図書館 編集部

演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。

公開日: 2026-10-23

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