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神里雄大プロフィール|越境する記憶と移動の物語を編む劇作家・演出家

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#神里雄大#劇作家#演出家#岡崎藝術座#プロフィール
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神里雄大プロフィール|越境する記憶と移動の物語を編む劇作家・演出家

神里雄大さんは、移民、越境、記憶、土地の歴史といった主題を、独自の語り口で舞台化してきた劇作家・演出家です。岡崎藝術座を率いながら、日本語圏の小劇場にとどまらず、南米、沖縄、欧州、アジアへと視野を広げた創作を続けています。個人の体験と聞き書き、旅先で採集したエピソードを折り重ね、ひとつの場所に収まらない人々の生を舞台に立ち上げてきた点が大きな特徴です。

本記事では、神里雄大さんの経歴、作風、受賞歴、代表作、近年の活動を整理します。

基本プロフィール

  • 名前:神里雄大(かみさと ゆうだい)
  • 生年:1982年
  • 出身:ペルー・リマ
  • 主な肩書:劇作家、舞台演出家
  • 主な所属:岡崎藝術座主宰
  • 主なテーマ:移民、越境、ルーツ、土地の記憶、他者との共時性

経歴

神里さんは1982年にペルー・リマで生まれ、幼少期を経て日本で育ちました。父方に沖縄系ペルー移民のルーツを持ち、自身も日本、南米、北米をまたぐ感覚の中で育ったことが、後年の創作に強く結びついています。早稲田大学在学中の2003年に岡崎藝術座を結成し、自身の演出作品を発表する団体として活動を始めました。

初期は既成戯曲の演出や都市的な感覚をもつ作品づくりにも取り組みましたが、2010年代に入ると、実際に各地を訪れ、そこで聞いた話や出会った人々の記憶を土台にした創作へと重心が移っていきます。2015年の『+51 アビアシオン, サンボルハ』、2017年の『バルパライソの長い坂をくだる話』は、その流れを象徴する重要作です。自身のルーツや移民の歴史を題材にしながら、単なる自伝劇に閉じず、複数の土地と声が重なり合う戯曲世界を切り開きました。

また、2016年からは文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員としてアルゼンチン・ブエノスアイレスに滞在しています。海外での滞在経験を通じて、言語差や文化差を前提とした共同制作・上演への感覚もさらに深まりました。岡崎藝術座の作品は各国のフェスティバルに招聘され、神里さんは日本の現代演劇の中でも国際的な射程を持つ書き手として認識されています。

作風の特徴

旅と聞き書きから立ち上がる戯曲

神里作品の大きな特徴は、机上の構想だけで完結せず、現地で見聞きした断片から戯曲を組み上げる点です。旅先で出会った人々の語り、土地に残る歴史、移民の記憶、日常会話の温度が、作品の骨格になります。そのため、物語は一直線に説明されるというより、複数の時間や場所を往復しながら少しずつ輪郭を見せます。

越境する人々を描く視点

神里さんは、国籍や出自を固定的な属性として扱うのではなく、人が移動し続ける存在であること自体に注目しています。たとえば『+51 アビアシオン, サンボルハ』では移民の歴史と個人の身体感覚が交差し、『ヘアカットさん』では土地の政治性と親密な会話が結びつきます。大きな歴史を扱いながらも、視線が常に個々人の距離感に向いているため、作品が抽象論だけに流れません。

モノローグと会話のあわい

神里作品では、登場人物が誰かに話しているようでいて、同時に自分の記憶をたぐり寄せているような独特の台詞運びが見られます。会話劇でありながら語りの色合いが濃く、観客は筋を追うだけでなく、言葉がどこから届いているのかを感じ取りながら作品に入っていきます。この語りの形式が、異なる土地や時間をひとつの舞台に共存させる支えになっています。

受賞歴・評価

神里さんは2006年、『しっぽをつかまれた欲望』の演出で利賀演出家コンクール最優秀演出家賞を受賞しました。若い時期から演出家として高く評価されていたことが分かります。さらに2018年には『バルパライソの長い坂をくだる話』で第62回岸田國士戯曲賞を受賞し、劇作家としての到達点を広く認知されました。

評価の中心にあるのは、社会的・歴史的な題材を扱いながら、観念的なメッセージに回収せず、旅や対話の現場で得た具体的な感触を作品の中に残していることです。日本の現代演劇において、移民やディアスポラの経験をここまで持続的に掘り下げてきた書き手は多くありません。その独自性が、国内外のフェスティバル招聘や翻訳上演にもつながっています。

戯曲図書館に掲載されている代表作

『バルパライソの長い坂をくだる話』は、神里さんの代表作としてまず挙げたい一本です。移民の歴史、死者の記憶、土地を越えて受け継がれる語りが重層的に組み合わされ、神里作品の方法論がよく表れています。

『+51 アビアシオン, サンボルハ』は、自身のルーツへの接近を出発点にしながら、個人的な旅をより広い移民史へと接続した作品です。『ヘアカットさん』は、政治的な緊張感と生活の手触りが同居する点が印象的です。さらに『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』を読むと、神里さんが現在のスタイルへ至る前後の変化もつかみやすいです。

近年の公式活動情報

近年の公式情報としては、2023年から2024年にかけてインスタレーション&パフォーマンス『親愛なる潜在的外国人の皆様へ』をブラジル、日本、ペルー、イギリスで展開したことが確認できます。舞台作品に限らず、空間芸術やパフォーマンスの形式へ射程を広げている点は注目に値します。

さらに2025年には、名古屋で「神里雄大のおはなし会 世界のラーメン編」を開催したほか、サンフランシスコ滞在中にTheatre of Yugenへ新作能戯曲『Density(密度)』を書き下ろしたことが公式プロフィールで案内されています。加えて同年2月には、日立財団の電子ジャーナル『グローバル ソサエティ レビュー』vol.3へ『ファミレス,グラス,居酒屋,ジレンマ』を寄稿しています。劇場公演だけでなく、寄稿、レクチャー、国際共同制作へ活動が広がっていることがうかがえます。

まとめ

神里雄大さんは、自身のルーツと世界各地で出会った語りを結びつけながら、移動する人々の記憶を舞台に刻んできた劇作家・演出家です。受賞歴の華やかさだけでなく、現地でのリサーチ、翻訳上演、国際共同制作を積み重ねてきた実践の厚みが際立っています。戯曲図書館では、まず『バルパライソの長い坂をくだる話』と『+51 アビアシオン, サンボルハ』を起点に読み、そこから『ヘアカットさん』『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』へ広げていくと、神里さんの創作の広がりがつかみやすいです。


参考情報

この記事で紹介した戯曲

Written by

戯曲図書館 編集部

演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。

公開日: 2026-06-06

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