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丸尾丸一郎プロフィール|劇団鹿殺しで歌と身体を武器に物語を立ち上げる劇作家・演出家

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丸尾丸一郎プロフィール|劇団鹿殺しで歌と身体を武器に物語を立ち上げる劇作家・演出家

丸尾丸一郎さんは、劇団鹿殺しの中心人物として、歌、身体、笑い、涙を一体化させた舞台をつくり続けてきた劇作家・演出家・俳優です。等身大の人物を描きながら、現実の痛みや夢の残酷さをそのまま沈ませず、熱量の高い音楽性とパフォーマンスで観客の感情を大きく揺らす作風で知られています。

劇団鹿殺しの作品には、泥くささ、祝祭性、少年漫画のような跳躍、そして家族や仲間への切実なまなざしが同居しています。その中心で言葉と構成を担ってきたのが丸尾さんです。本記事では、丸尾丸一郎さんの経歴、作風、受賞歴、代表作、近年の活動を整理します。

基本プロフィール

  • 名前:丸尾丸一郎(まるお まるいちろう)
  • 本名:丸尾啓之
  • 生年:1977年
  • 出身:大阪府
  • 主な肩書:劇作家、演出家、俳優
  • 主な活動母体:劇団鹿殺し、2Shoulderpads、OFFICE SHIKA STAGE

公式プロフィールによると、丸尾さんは2000年に菜月チョビさんとともに劇団鹿殺しを旗揚げしました。関西学院大学在学中から演劇活動を始めており、劇団立ち上げ以降は脚本、演出、出演の三つを横断しながら活動しています。

経歴

丸尾さんのキャリアを語るうえで重要なのは、劇団鹿殺しが最初から「言葉だけの劇団」ではなかったことです。国際交流基金のプロフィールでは、大学時代の演劇サークル活動を経て2000年に劇団鹿殺しを旗揚げし、2005年から東京へ拠点を移して、年間1000回以上の音楽劇的な路上パフォーマンスを行って注目を集めたことが紹介されています。小劇場の作品づくりと路上での身体的な実演が地続きだったことは、現在の丸尾作品のダイナミズムを理解する手がかりになります。

劇団鹿殺しの公式紹介でも、丸尾さんは家族、仲間、夢と現実といった普遍的な主題を、等身大の言葉と叙情的な歌詞で独自の世界観へ変換する作り手として説明されています。実際、代表作には社会の周縁にいる人物や、報われにくい人々の願いが頻繁に登場します。ただし、それを静かな内省だけで終わらせず、歌や群像、誇張された身体表現によって一気に舞台の熱へ変えていくところに丸尾作品らしさがあります。

さらに近年は、劇団公演だけにとどまらず、外部プロデュースや映像脚本にも活動を広げています。劇団鹿殺し公式サイトでは、OFFICE SHIKA×Cocco『ジルゼの事情』、秋元康プロデュース劇団4ドル50セント『新しき國』『ピエロになりたい』、テレビドラマ『下北沢ダイハード』『マジムリ学園』などが代表的な仕事として挙げられています。ステージナタリーでも、2.5次元舞台『家庭教師ヒットマンREBORN! the STAGE』シリーズや舞台『銀牙 -流れ星 銀-』シリーズで脚本・演出を手がけていることが確認できます。小劇場的な作家性を保ちながら、商業演劇やメディア作品へ接続してきた点は、丸尾さんの大きな強みです。

作風の特徴

音楽性と群像の推進力

丸尾さんの舞台では、台詞だけでなく、歌詞、リズム、身体の反復が物語の推進力になります。人物の感情を説明し過ぎるのではなく、歌や集団の動きによって一気に観客の感情へ届かせる場面が多く、舞台全体がライブのような速度を帯びます。劇団鹿殺しが長く支持されてきた理由のひとつは、この「物語を語る」ことと「場を熱狂させる」ことの両立にあります。

傷ついた人物へのまなざし

一方で、派手さだけが前面に出る作家ではありません。丸尾作品には、夢をかなえられない人、家族の期待からこぼれる人、居場所を失いかけた人がしばしば登場します。華やかな演出の裏に、うまく生きられない人への共感が流れているため、笑いの場面も単なる娯楽で終わらず、切なさや痛みを伴って残ります。

たとえば代表作『スーパースター』は、成功から取り残された主人公の感情を軸にしつつ、団地の記憶、家族の喪失、兄弟の距離、子ども時代の夢を大きなスケールで描いています。もう一作の『竹林の人々』でも、共同体や人間関係の濃さの中で揺れる感情が、丸尾さんらしい熱量で立ち上がります。

大衆性と前衛性のあいだ

丸尾さんの作品は、分かりやすい感情の入口を持ちながら、上演の形はかなり大胆です。少年漫画のような過剰さ、ロック、歌謡性、ナンセンス、身体的な誇張が混ざり合うため、写実一辺倒の演劇とはまったく違う手触りになります。それでも観客を置いていきにくいのは、中心にある感情が非常に素朴で切実だからです。大衆性と実験性のあいだを往復できる点は、丸尾さんの重要な持ち味です。

受賞歴・評価

丸尾さんの代表作『スーパースター』は、第55回岸田國士戯曲賞の最終候補作に選ばれました。小劇場的な熱量を保ちながら、戯曲としても高く評価されたことを示す重要な実績です。

また、丸尾さんと菜月チョビさんが率いる2Shoulderpadsは、2025年のエディンバラ・フェスティバル・フリンジで全公演完売を記録し、公式サイトによると Mervyn Stutter Spirit of the Fringe Award を受賞しました。国内小劇場で培った発想と身体性が、海外の観客にも強く届いた事例として注目できます。

加えて、劇団鹿殺し公式サイトでは、丸尾さんが脚本を手がけた映画『Gメン』が2023年の第97回キネマ旬報ベスト・テン読者選出日本映画賞1位に選ばれたことも紹介されています。演劇にとどまらず、物語作家としての幅が評価されていると言えます。

戯曲図書館に掲載されている代表作

戯曲図書館で現在確認できる丸尾丸一郎さんの作品ページは次の2本です。

まず読むなら『スーパースター』がおすすめです。丸尾さんの代表作として広く知られ、家族の記憶、団地という生活空間、報われなさと希望が渦を巻く構成に、作家性がよく表れています。熱量の高い上演を想像しやすい一方で、戯曲として読んでも人物の切実さがしっかり伝わってきます。

次に『竹林の人々』を読むと、丸尾さんが共同体の圧力や人間関係の濃密さをどう劇化するかが見えてきます。丸尾作品の特徴である、濃い感情をそのまま舞台の運動へ変えていく感覚をつかみたい方に向いています。

近年の活動

近年の公式活動としてまず挙げたいのは、2026年上演のVol.M presents『UME -今昔不届者歌劇-』です。公式公演サイトによると、丸尾さんは本作で脚本・演出を担当し、自身も出演しています。東京・大阪・和歌山の3都市で上演され、スリラーと時代劇、音楽劇の要素を交錯させた大規模な企画として展開されました。劇団の枠外でも、丸尾さんが物語構築の核を担っていることがよく分かる仕事です。

さらに2026年夏には、2Shoulderpads『GALAXY TRAIN』でエディンバラ・フェスティバル・フリンジへの参加が公式サイトで告知されています。2025年の海外公演で全公演完売と受賞を経験したうえで、翌年も国際展開を続けている点は非常に重要です。日本の小劇場で鍛えた発想を、そのまま海外向けに翻訳し直して終わりではなく、身体表現と想像力の強さを武器に世界へ持ち出していることがうかがえます。

ステージナタリーでも、2026年の『GALAXY TRAIN』、山﨑晶吾さんの一人芝居『Nobody knows me』への脚本・演出参加、Vol.M『UME -今昔不届者歌劇-』など、今年に入ってからの活動が複数確認できます。ひとつの劇団に閉じず、劇団鹿殺し、ユニット活動、外部公演の三本柱で動き続けているのが現在の丸尾さんです。

まとめ

丸尾丸一郎さんは、劇団鹿殺しを通じて、小劇場の熱量と大衆的な物語性を強く接続してきた劇作家・演出家です。歌と身体を使った祝祭的な舞台づくりの一方で、作品の中心には、うまく生ききれない人や、夢のまぶしさに置いていかれる人へのやさしいまなざしがあります。

戯曲図書館で丸尾さんの世界に触れるなら、まずは『スーパースター』を読み、次に『竹林の人々』へ進むと、丸尾作品に通底する熱、哀しみ、祝祭性がつかみやすいです。舞台を読む楽しさと、上演を想像する興奮の両方を味わいたい方におすすめしたい劇作家のお一人です。


参考資料

この記事で紹介した戯曲

Written by

戯曲図書館 編集部

演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。

公開日: 2026-07-17

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