演劇ワークショップの開き方|企画から実施まで
2026-02-08
ガイドワークショップ演劇教育演劇知識実用
演劇ワークショップは、演技体験を通じてコミュニケーション力や表現力を育むプログラムです。学校、企業、地域コミュニティなど、さまざまな場で開催されています。
演劇ワークショップとは
演劇ワークショップは、公演を目的とするのではなく、プロセスそのものに価値を置く活動です。
- 参加者が演劇的な手法(身体表現、即興、対話など)を体験する
- 特定の技術の習得より、参加者同士の関係性構築やコミュニケーションの活性化を重視
- 正解・不正解はなく、参加者が安心して表現できる場を作ることが大切
企画の立て方
1. 目的を明確にする
「何のためのワークショップか」を最初に決めます。
- 演技体験:演劇に興味がある人に基本的な演技を体験してもらう
- コミュニケーション:チームビルディング、対話力の向上
- 教育:学校での表現教育、自己肯定感の育成
- 福祉:高齢者の認知機能維持、障がい者の表現支援
2. 対象者を決める
- 子ども(小学生以下)
- 中高生
- 大学生・一般成人
- 高齢者
- 企業研修の参加者
対象によって、プログラムの内容・時間・難易度を調整します。
3. 時間と場所を設定する
- 時間:初心者向けは90分〜2時間が適切。半日〜1日のプログラムも
- 場所:体を動かせる広さが必要。1人あたり2〜3平米が目安
- 人数:10〜20人が運営しやすい。それ以上の場合はアシスタントを配置
プログラム例
基本プログラム(2時間・初心者向け)
ウォーミングアップ(20分)
- 自己紹介ゲーム:名前と好きなものを言いながら、ジェスチャーを付ける
- 歩くエクササイズ:空間を歩きながら、スピードや方向を変える。出会った人にあいさつ
- ミラー:二人一組で向かい合い、片方の動きをもう片方が鏡のように真似る
メインワーク(60分)
- イメージワーク:「朝起きてから家を出るまで」をパントマイムで表現。グループで共有
- 即興(インプロ):お題を出して、2〜3人で短いシーンを即興で演じる
- 例:「引っ越し先の隣人にあいさつに行く」「コンビニで同じ商品に手を伸ばす」
- 短いシーン作り:4〜5人のグループで、5分間の短いシーンを作って発表
クールダウン・振り返り(20分)
- リラクゼーション:呼吸法、ストレッチ
- 感想共有:やってみてどう感じたかを一人ずつシェア
企業研修向けプログラム(3時間)
- アイスブレイク(名前リレー、他己紹介)
- 聴くワーク(ペアで話を聴き合い、相手の話を全体に紹介)
- ステータスゲーム(立場の上下を意識した即興)
- プレゼンテーション演習(身体の使い方、声の出し方)
- チームでのシーン作り(会社の課題をテーマにした寸劇)
- 振り返り・ディスカッション
ファシリテーションのコツ
安心・安全な場を作る
最も重要なことです。以下を参加者に最初に伝えましょう。
- 失敗OK:間違いや恥ずかしさを気にしなくてよい
- パスあり:やりたくないワークは「パス」できる
- 否定しない:他の参加者の表現を批判・否定しない
- 秘密厳守:ワークショップ内での出来事を外で話さない(特に企業・福祉の場合)
指示は短く、やって見せる
- 言葉での説明は短く
- まずデモンストレーションで見せる
- 複雑なワークは段階的に指示する
全員を見る
- 一部の積極的な参加者だけでなく、消極的な参加者にも目を配る
- 強制はしないが、さりげなく参加しやすい状況を作る
時間管理
- 盛り上がっても予定時間を大幅に超えない
- 振り返りの時間は必ず確保する
安全管理のポイント
- 身体接触のルール:ワークで身体接触がある場合は事前に説明し、同意を得る
- 怪我の防止:床の状態(滑らないか)、障害物の有無を確認
- 心理的安全性:過去のトラウマに触れる可能性のあるワークは慎重に扱う
- 保険:主催者として保険に加入することを推奨(レクリエーション保険など)
ワークショップを始めるには
- まずは参加者として、いくつかのワークショップを体験する
- 演劇教育やファシリテーションの講座に参加する
- 少人数(5〜10人)の知人を集めて、練習会を開く
- 学校や地域のイベントで実施の機会を探す
演劇ワークショップは、演劇と社会をつなぐ大切な活動です。舞台に立たなくても、演劇の力を多くの人に届けることができます。
