舞台監督とは?|役割と仕事の流れ

2026-02-08

ガイド舞台監督舞台技術演劇知識実用

舞台監督(ステージマネージャー/SM)は、公演の技術面・進行面を統括する「現場の責任者」です。演出家が作品の芸術面を担うのに対し、舞台監督は作品を物理的に成立させる役割を担います。

舞台監督の主な仕事

1. 稽古期間の仕事

  • 稽古場の手配・管理:予約、鍵の管理、稽古場の準備
  • 稽古スケジュールの作成・管理:全体スケジュール、日々の稽古メニュー
  • バミリ(場当たり):稽古場に舞台のセットの位置をテープで示す
  • プロンプター:役者がセリフを忘れたときに助ける(稽古初期)
  • 稽古記録:演出家の指示、ブロッキング(動線)を記録する

2. 仕込み〜本番

  • 仕込みの進行管理:大道具搬入、照明・音響の設営を指揮
  • 場当たり(テクリハ)の進行:照明・音響・大道具転換のタイミングを合わせる
  • キュー出し:本番中、照明・音響・大道具転換のきっかけ(キュー)を指示する
  • 安全管理:出演者・スタッフの安全を最優先で確保
  • タイムキーパー:開演時間の管理、幕間の時間管理

3. バラシ(撤収)

  • 撤収作業の指揮:効率的にセットを解体・搬出
  • 劇場の現状復帰:借りた状態に戻す
  • 忘れ物チェック:機材やスタッフの荷物の確認

舞台監督に必要な能力

コミュニケーション能力

演出家、役者、各技術スタッフの間に立つ「ハブ」として、円滑なコミュニケーションが求められます。

スケジュール管理能力

限られた時間の中で仕込み・リハーサル・本番を進行するため、時間管理は最重要スキルです。

冷静な判断力

本番中のトラブル(機材故障、役者の怪我、停電など)に対して、冷静に対処する判断力が必要です。

安全への意識

高所作業、電気系統、火気使用など、舞台には危険が伴います。安全管理は舞台監督の最重要責任です。

キュー出しの実際

本番中の舞台監督の最も重要な仕事が「キュー出し」です。

インカム(通信機器)を使う

舞台監督は照明・音響のオペレーターとインカム(ヘッドセット型の無線通信)でつながっています。

キューの出し方

舞台監督:「照明Q5、音響Q7、スタンバイ」
照明:「照明Q5、スタンバイ、OK」
音響:「音響Q7、スタンバイ、OK」
(セリフのきっかけが来る)
舞台監督:「Q5、Q7、GO」

必ず「スタンバイ」で予告し、「GO」で実行。この二段階方式がミスを防ぎます。

キューシートの作り方

ページ  きっかけ              照明      音響      大道具
p.3    開演ベル後5秒         Q1(FI5s)  M1(FI3s)  -
p.5    田中「出かけるよ」      Q2(2s)    SE1      -
p.8    暗転                  Q3(BO3s)  M2(FI2s)  転換①
p.9    転換完了後             Q4(FI5s)  M2(FO3s)  -

※ FI=フェードイン、FO=フェードアウト、BO=ブラックアウト

小劇場での舞台監督

プロの公演では舞台監督は専任ですが、小劇場やアマチュア公演では、出演者や演出家が兼任することも珍しくありません。

兼任する場合のコツ:

  • チェックリストを作る:仕込み・本番・バラシそれぞれのリストを作成
  • 役割分担を明確にする:当日の各スタッフの持ち場を事前に決める
  • 劇場との事前打ち合わせ:劇場のルール(搬入経路、使用可能時間、禁止事項)を確認
  • タイムテーブルを書面で共有:口頭だけでなく、紙やデータで全員に配布

舞台監督を目指す人へ

舞台監督は「縁の下の力持ち」で、表舞台に出ることは少ない仕事です。しかし、公演を成功に導く最も重要なポジションの一つです。

経験を積むには:

  • 学校の演劇部や地域の劇団でスタッフ経験を積む
  • 舞台技術のワークショップに参加する
  • プロの公演でスタッフ(制作助手、舞台助手)として現場に入る

舞台監督がいない公演は、どこか不安定になります。裏方の仕事に興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。