野田秀樹|言葉遊びの天才と日本演劇の革命児
2026-02-08
野田秀樹(のだ・ひでき)は、日本演劇を代表する劇作家・演出家・俳優です。言葉遊びとスピード感あふれる作風で、1980年代の小劇場ブームを牽引しました。
プロフィール
- 生年月日:1955年12月20日
- 出身地:長崎県長崎市(育ちは東京)
- 学歴:東京大学法学部卒業
- 主な受賞歴:岸田國士戯曲賞(1983年『野獣降臨』)、読売文学賞、朝日賞、紫綬褒章(2009年)
- 現在の活動:NODA MAP主宰、東京芸術劇場芸術監督
経歴
夢の遊眠社時代(1976年〜1992年)
東京大学在学中の1976年に劇団「夢の遊眠社」を旗揚げ。80年代に入ると爆発的な人気を獲得し、野田秀樹は時代のアイコンとなりました。
この時期の作品は、日本語の持つ音の面白さを最大限に活かした「言葉遊び」が特徴です。一つの言葉が別の意味にスライドし、物語が二重三重の構造を持つ——知的で痛快な作品群でした。
1992年、人気絶頂の中で夢の遊眠社を解散。この決断は演劇界に衝撃を与えました。
ロンドン留学(1993年〜1994年)
解散後、ロンドンに渡り演劇を学びます。この経験が、後の国際的な活動の基盤となりました。
NODA MAP時代(1993年〜現在)
帰国後、プロデュース公演の形態で「NODA MAP」を設立。毎公演ごとにキャストを変える柔軟なスタイルで、映画やテレビで活躍する俳優たちとコラボレーションしています。
NODA MAP以降の作品では、言葉遊びは維持しつつも、歴史や社会問題をテーマにした重厚な作品が増えました。
代表作品
夢の遊眠社時代
- 『野獣降臨(のけものきたりて)』(1982年):岸田國士戯曲賞受賞作。SFとファンタジーが混在する野田ワールドの原点
- 『半神』(1986年):萩尾望都の漫画を原作とした作品。結合双生児の姉妹を描く悲劇
- 『贋作・桜の森の満開の下』(1989年):坂口安吾の小説を翻案。美しく残酷な物語
NODA MAP時代
- 『キル』(1994年):チンギス・ハーンの物語に現代日本を重ね合わせた作品
- 『パンドラの鐘』(1999年):長崎の原爆をモチーフにした野田の転換点的作品
- 『THE BEE』(2006年):筒井康隆の小説を原作にした英語版・日本語版の二言語上演
- 『エッグ』(2012年):満州での731部隊の記憶をスポーツに重ねた作品
- 『フェイクスピア』(2021年):シェイクスピアをモチーフにした最新作の一つ
野田秀樹の特徴
言葉遊び
野田作品の最大の特徴は、日本語の同音異義語や語呂合わせを駆使した「言葉遊び」です。一つの音が複数の意味を持ち、セリフが多層的に響きます。
スピード
セリフの速度が極めて速く、役者の身体も高速で動きます。このスピード感が、観客を興奮させる野田演劇の醍醐味です。
身体性
野田自身が優れた身体能力を持つ俳優であり、作品には身体を使った表現が多く含まれます。
歴史への眼差し
NODA MAP以降の作品では、戦争、原爆、植民地支配など、歴史的なテーマを扱うことが増えました。しかし、それを説教的にではなく、エンターテインメントの中に織り込むのが野田の手法です。
野田秀樹を読む・観る
野田秀樹の戯曲は多くが出版されています。
- 『野田秀樹全作品集』(新潮社)
- 個別の戯曲は新潮社、白水社などから刊行
まずは短めの作品(『半神』など)から読んでみるのがおすすめです。そして、機会があればぜひ舞台を観てください。テキストでは伝わりきらない、圧倒的な「速度」と「熱量」が体験できます。
