松尾スズキ(まつお・すずき)は、劇団「大人計画」を主宰する劇作家・演出家・俳優です。毒とユーモアが同居する作風で、独自の演劇世界を築いています。
プロフィール
- 生年月日:1962年12月15日
- 出身地:福岡県北九州市
- 主な受賞歴:岸田國士戯曲賞(1997年『ファンキー!〜宇宙は見える所までしかない〜』)、読売文学賞、講談社エッセイ賞
- 現在の活動:大人計画主宰
経歴
北九州で育ち、上京後の1988年に劇団「大人計画」を旗揚げしました。
大人計画は、阿部サダヲ、宮藤官九郎、荒川良々、皆川猿時、池津祥子など、個性的な俳優を多数擁する劇団です。テレビや映画でおなじみの俳優が多いですが、彼らの原点は大人計画の舞台にあります。
松尾自身も俳優として多くの映画やドラマに出演。映画監督、小説家としても活動するマルチな才能の持ち主です。
代表作品
- 『ファンキー!〜宇宙は見える所までしかない〜』(1996年):岸田國士戯曲賞受賞作。SFとナンセンスコメディが融合した松尾ワールドの代表作
- 『キレイ』(2000年初演):戦争孤児の少女の物語。グロテスクと美しさが同居するミュージカル
- 『マシーン日記』(1993年):引きこもりの青年と家族を描いたブラックコメディの傑作
- 『ニンゲン御破算』(2003年):歌舞伎座で上演された松尾スズキ作品。伝統芸能との異色のコラボレーション
- 『母を逃がす』(2017年):老いと介護をテーマにした作品
松尾スズキの特徴
毒のあるユーモア
松尾の作品は、「笑い」と「毒」が分かちがたく結びついています。社会のタブーや人間の暗部を、笑いを通して容赦なく描き出します。
差別、暴力、性、死——触れにくいテーマを扱いながら、それを「笑い」に変換する手腕が松尾の真骨頂です。
グロテスクな美学
松尾の舞台には、美しいものとグロテスクなものが共存します。『キレイ』というタイトルの作品に血と暴力が溢れているように、対極の要素を衝突させることで、独自の美学を生み出しています。
俳優への愛
松尾は俳優を愛する演出家です。大人計画のメンバー一人ひとりの個性を最大限に活かす当て書き(俳優の個性に合わせて脚本を書くこと)を得意としています。
自虐と自意識
松尾の作品には、作者自身の自意識や自虐が反映されることが多く、「こんなことを書いている自分」への冷徹な視線が常にあります。
大人計画という劇団
大人計画は、日本の小劇場演劇の中でも独特の存在です。
- メンバーの多くがテレビ・映画でも活躍する「売れっ子」でありながら、劇団活動を続けている
- 劇団員同士の結束が強く、家族的な雰囲気
- 松尾作品以外にも、劇団員の作・演出作品を上演する多様性
松尾スズキを読む・観る
- 戯曲:白水社から戯曲集が刊行
- 小説:『クワイエットルームにようこそ』(文春文庫)は松尾の小説家としての代表作(映画化もされている)
- エッセイ:『大人失格』など、軽妙なエッセイも多数
松尾スズキの演劇は、万人向けではないかもしれません。しかし、一度ハマると抜け出せない中毒性があります。「毒」を恐れない方は、ぜひ大人計画の世界に足を踏み入れてみてください。
Written by
戯曲図書館 編集部
演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。
関連記事
『大人計画』はなぜ社名を『さておき』に変えたのか――劇団名と個人名のあいだで起きていること
有限会社大人計画の社名変更を起点に、劇団ブランドと個人の創作がどう共存するのかを、1988年の旗揚げ史と日本演劇の構造変化から読み解きます。
2026-05-04
泣ける演劇台本おすすめ10選 — 観客の涙を誘う感動の戯曲
読むだけで涙が出る、上演すれば観客の心を揺さぶる。泣ける演劇台本・戯曲を10作品厳選しました。高校演劇や文化祭にも使える作品を中心にご紹介します。
2026-05-11
文化祭の演劇を成功させる完全ガイド — 台本選びから本番まで
文化祭で演劇をやりたいクラス・演劇部向けの完全ガイド。台本の選び方、稽古スケジュール、舞台装置、当日の段取りまでステップごとに解説します。
2026-05-10
本日の東京公演情報【2026年5月10日(日)】
2026年5月10日(日)に東京で上演される演劇・舞台公演19選。料金・会場・千秋楽情報まで完全まとめ
2026-05-10