ケラリーノ・サンドロヴィッチ(通称KERA/ケラ)は、劇団「ナイロン100℃」を主宰する劇作家・演出家であり、ミュージシャンとしても活動する多才なアーティストです。
プロフィール
- 本名:小林一三(こばやし・かずみ)
- 生年月日:1963年1月3日
- 出身地:東京都
- 主な受賞歴:岸田國士戯曲賞(2001年『フローズン・ビーチ』)、読売演劇大賞
- 現在の活動:ナイロン100℃主宰
経歴
音楽活動
演劇家としてのイメージが強いケラですが、キャリアのスタートは音楽です。1980年代にバンド「有頂天」のボーカルとして活動し、インディーズシーンで人気を博しました。
劇団健康からナイロン100℃へ
1985年に「劇団健康」を旗揚げし、演劇活動を開始。1993年に劇団健康を発展的に解消し、「ナイロン100℃」を結成しました。
ナイロン100℃は、みのすけ、三宅弘城、犬山イヌコ、峯村リエ、大倉孝二、松永玲子ら個性豊かな俳優が所属し、コメディを軸にした多彩な作品を上演しています。
代表作品
- 『フローズン・ビーチ』(2001年):岸田國士戯曲賞受賞作。孤島の別荘を舞台にしたミステリーコメディ。4人の女性の秘密が次第に明かされる
- 『ナイス・エイジ』(1996年):ケラの代表的群像劇
- 『カメラ・オブスクラ』(2003年):不思議な館を舞台にした幻想的な物語
- 『百年の秘密』(2012年):100年にわたる二人の女性の友情を描いた叙事詩的な作品
- 『キネマと恋人』(2016年):映画黄金時代へのオマージュ。ウディ・アレン『カイロの紫のバラ』を思わせるファンタジー
- 『世界は笑う』(2022年):戦時下の喜劇人たちを描いた大作
ケラの特徴
コメディの多様性
ケラのコメディは一つの型にはまりません。
- ナンセンスコメディ:論理が破綻していく笑い
- シチュエーションコメディ:状況の積み重ねで生まれる笑い
- ブラックコメディ:暗いテーマを笑いに昇華
- ファルス(笑劇):テンポの速いドタバタ
一つの作品の中でこれらを自在に使い分け、組み合わせるのがケラの技術です。
構成力
ケラの作品は、伏線の張り方と回収が巧みです。複数のエピソードが並行して進み、終盤で一気に収束する快感は、三谷幸喜と並ぶ構成力と評価されています。
長編への挑戦
ケラは上演時間が3〜4時間に及ぶ長編作品を多く手がけています。長大な物語を飽きさせずに見せるのは高い技術が必要ですが、ケラの構成力とユーモアがそれを可能にしています。
映画・文学への造詣
ケラの作品には、古典映画、文学作品へのオマージュが随所に散りばめられています。映画的な場面転換や、文学的な重層構造は、ケラの幅広い教養に裏打ちされています。
ナイロン100℃の魅力
ナイロン100℃の公演は、ケラの作・演出だけでなく、俳優たちの卓越した演技力が作品を支えています。
特にコメディの「間」——笑いを生むタイミングの精度が高く、ケラと俳優たちの長年の信頼関係が生み出す阿吽の呼吸は、他の劇団にはない魅力です。
ケラを読む・観る
- 戯曲:白水社から『ケラリーノ・サンドロヴィッチ戯曲集』が刊行
- 映画監督作品:『1980(イチキューハチマル)』(2003年)、『グミ・チョコレート・パイン』(2007年)など
まずは『フローズン・ビーチ』から読んでみてください。4人の女性の会話が、笑いと謎を織り交ぜながら展開する——ケラの劇作術の粋が詰まった一作です。
Written by
戯曲図書館 編集部
演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。
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