即興劇(インプロ)入門|基本ルールと練習法

2026-02-08

演劇知識即興インプロ演劇ジャンルワークショップ

即興劇(インプロビゼーション/インプロ)は、台本なしで演じる演劇です。事前に決められているのはルールとフォーマットだけ。あとはその場で生まれる展開に身を委ねます。

インプロとは

インプロは英語の「Improvisation(即興)」の略称です。20世紀にキース・ジョンストン(イギリス)やヴァイオラ・スポーリン(アメリカ)らが体系化した演劇の手法です。

日本でも2000年代以降、インプロ団体やワークショップが増え、演劇だけでなく企業研修やコミュニケーション教育にも取り入れられています。

インプロの基本ルール

1. Yes, and(イエス・アンド)

インプロの最も重要な原則です。相手の提案を受け入れ(Yes)、さらに何かを付け加える(and)

良い例: A:「わあ、この動物園、ライオンがいるよ!」 B:「本当だ!しかもこっちを見てる!手を振ってみよう」(受け入れ + 発展)

悪い例(ブロッキング): A:「わあ、この動物園、ライオンがいるよ!」 B:「ここは動物園じゃないよ。会社のオフィスでしょ」(否定=ブロッキング)

否定すると場面が壊れ、相手も傷つきます。まず受け入れること。

2. 相手をよく見る(聴く)

自分の面白いアイデアを出すことより、相手の提案に気づくことが重要です。

3. 完璧を目指さない

失敗しても大丈夫。失敗から面白い展開が生まれることもあります。

4. 物語を進める

説明や議論に時間を使いすぎず、「何が起きるか」を大切にします。

代表的なインプロゲーム

ワンワード

全員で一人一単語ずつ交代で言いながら、文章(物語)を作っていくゲームです。

例:「むかし」→「ある」→「ところに」→「大きな」→「犬が」→「住んで」→「いました」

フリーズ

二人が即興で演じ、観客の誰かが「フリーズ!」と声をかけると、演者は動きを止めます。声をかけた人が片方と交代し、まったく別のシーンを始めます。

エキスパートゲーム

一人が「何かの専門家」になりきり、観客からの質問にでたらめで答えます。もっともらしく、自信を持って答えるのがコツです。

ストーリースパイン

以下のフレーマットに沿って、交代で物語を作ります。

  1. 「昔々あるところに__がいました」
  2. 「毎日__していました」
  3. 「ところがある日__」
  4. 「そのせいで__」
  5. 「そのせいで__」
  6. 「ついに__」
  7. 「それからは__」

感情リプレイ

短い場面を普通に演じた後、同じ場面を「怒り」「喜び」「悲しみ」など指定された感情で再演します。

インプロの練習方法

一人でできる練習

  • 連想ゲーム:一つの言葉から連想を広げ続ける(制限時間1分)
  • 一人語り:お題を決めて、2分間途切れずに話し続ける
  • 観察:日常の出来事を演劇的に描写してみる

二人でできる練習

  • ミラー:相手の動きを鏡のように真似る
  • Yes, and 会話:相手の言ったことに必ず「そうだね、しかも〜」で返す
  • 質問禁止ゲーム:会話の中で質問をしてはいけない

グループでできる練習

  • ジップ・ザップ・ゾイ:リズムに合わせて指さしながら「ジップ」「ザップ」「ゾイ」を回す
  • グループストーリー:輪になって一人一文ずつ物語を紡ぐ
  • シーンワーク:お題をもらって2〜3人で即興シーンを演じる

インプロが演劇にもたらすもの

インプロは「台本のない演劇」ですが、台本のある演劇にも大きな影響を与えます。

  • 反応力:相手のセリフ・動きに自然に反応できるようになる
  • 即応性:本番でのアクシデントに対応する力がつく
  • 創造性:固定観念にとらわれない発想ができるようになる
  • 信頼関係:共演者との信頼が深まる

多くのプロの劇団でも、稽古のウォーミングアップにインプロを取り入れています。

インプロを始めるには

日本各地でインプロのワークショップや定期公演が開催されています。まずは参加者として体験してみることをおすすめします。

初心者向けのワークショップは「インプロ 初心者 ワークショップ」で検索すると見つかります。経験不問で参加できるものがほとんどです。

インプロに「失敗」はありません。あるのは「予想外の展開」だけ。その楽しさを、ぜひ体験してみてください。