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泊篤志プロフィール|北九州から社会と非日常をつなぐ劇作家・演出家

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泊篤志プロフィール|北九州から社会と非日常をつなぐ劇作家・演出家

泊篤志さんは、北九州を拠点に長く活動を続けてきた劇作家・演出家です。地域に根ざした演劇実践を続けながら、日常の手触りを出発点にして、いつの間にか社会の深い分断や人間の不安へと観客を連れ出す作風で知られています。飛ぶ劇場の代表として作品を生み出してきただけでなく、北九州芸術劇場のローカルディレクターとして地域の演劇環境づくりにも関わり続けている点が大きな特徴です。

本記事では、公開情報をもとに泊篤志さんの経歴、作風、受賞歴、代表作、近年の活動を整理します。戯曲図書館に掲載されている作品への内部リンクもあわせて紹介します。

基本プロフィール

  • 名前:泊篤志(とまり あつし)
  • 出身:福岡県北九州市
  • 主な肩書:劇作家、演出家
  • 主な活動母体:飛ぶ劇場
  • 主な活動地域:北九州を中心とする九州・全国

泊さんは、劇作と演出を一体で担いながら、地域演劇の担い手としても存在感を発揮してきました。ひとつの作品だけで評価される書き手というより、劇団運営、地域連携、人材育成までを含めて演劇文化を支えてきたタイプの劇作家です。

経歴

泊さんは北九州大学在学中、演劇研究会で上演作品の執筆と演出を担当し、早い時期から創作の実践を始めました。その後、東京でゲームシナリオの仕事に携わったのち、北九州へUターンしています。外部の商業的な現場を経験したうえで地元へ戻ったことは、泊さんの創作に独特の視野を与えているように見えます。地域性を強く持ちながら、閉じたローカル表現に終わらないのは、その往復経験があるからです。

1993年に飛ぶ劇場へ復帰し、作・演出を担当するようになりました。1995年には正式に劇団代表を引き継ぎ、以後は北九州市を本拠地にしながら積極的に全国公演を展開しています。地方都市に拠点を置きつつ、継続的に創作と上演を積み重ねてきたこと自体が、日本の現代演劇において重要な実績だと言えます。

泊さんの歩みを語るうえで欠かせないのが、劇作だけでなく地域の演劇基盤づくりにも深く関わってきた点です。北九州芸術劇場ではローカルディレクターとして活動し、作品づくりだけでなく、九州演劇界の底上げやワークショップ、若手育成にも携わってきました。単に自作を上演するだけでなく、演劇が地域社会にどう根づくかを考えながら仕事をしているところに、泊さんのキャリアの厚みがあります。

作風の特徴

日常から非日常へ移る構造

飛ぶ劇場の紹介でも触れられている通り、泊さんの作品は「何気ない日常から出発し、とんでもない非日常に観客を連れ去る」感覚に強みがあります。舞台の入口は親しみやすい会話や身近な状況でありながら、物語が進むにつれて現実の歪みや社会のほころびが大きく露出していきます。この移行が自然なので、観客は気づかないうちに深いところまで連れていかれます。

たとえば『生態系カズクン』では、身近な人間関係や生活感のある場面が、奇妙さと不穏さをまといながら拡張されていきます。現実から完全に切り離された幻想ではなく、現実そのものが少しずつ異形化していく感覚が、泊作品の魅力です。

社会性とエンターテインメントの両立

泊さんの新作紹介では「分断の喜劇」「社会派喜劇」といった言葉が使われています。これは近年だけの傾向ではなく、泊作品全体に通じる特徴でもあります。政治や社会の問題を正面から扱いながらも、説教臭くならず、演劇としての面白さを失わないのです。

『大砲の家族』では、国家や境界、対立の構図が物語の奥に置かれながら、観客はまず家族や共同体の揺らぎとしてその問題を受け止めます。大きな社会テーマを小さな人間関係の中に落とし込むことで、抽象論ではなく具体的な痛みとして伝える力があります。

地域の言葉と身体感覚

泊さんは北九州を拠点に活動し続けてきた劇作家として、地域の言葉や気配を作品の中に自然ににじませます。方言や土地の距離感は、単なる色づけではなく、登場人物の身体感覚や価値観を支える重要な要素です。近年は映像作品での方言指導にも参加しており、言葉を地域文化の芯として扱う姿勢が一貫しています。

この感覚は、台詞のリズムだけでなく、舞台に立ち上がる共同体の空気にも関わっています。泊さんの作品は、どこにでも通用する普遍性を持ちながら、無色透明にはならないのです。地域性を削らずに普遍性へ届くところが、泊作品の強さです。

受賞歴・評価

泊さんは『生態系カズクン』で第3回劇作家協会新人戯曲賞を受賞しています。この受賞は、早い段階で泊さんの劇作家としての独自性が高く評価されていたことを示しています。また、北九州芸術劇場の案内では、2002年に北九州市民文化奨励賞を受賞したことも紹介されています。

賞歴だけで泊さんの価値を語るのは十分ではありません。むしろ注目したいのは、劇団代表としての継続性、地域での育成活動、そして演劇の外側とも接続する仕事の広がりです。美術館との協働、オペラの構成・演出、書道パフォーマンスの演出など、活動領域を広げながらも、劇作家としての視点を失っていない点が高く評価されています。

戯曲図書館に掲載されている代表作

泊篤志さんを初めて読むなら、まずは受賞作でもある『生態系カズクン』から入るのがおすすめです。日常の会話や人物配置の中に、じわじわと異物感が入り込んでくる感覚がよくわかります。

次に『大砲の家族』を読むと、泊さんが社会的な対立や共同体の緊張をどのように寓話化しているかが見えてきます。さらに『IRON』まで読むと、初期から中期にかけての作劇の振れ幅や、人物の関係性を通じて世界の歪みを描く手つきがより立体的に理解しやすくなります。

近年の活動情報

2026年時点でも、泊さんの活動は非常に活発です。北九州芸術劇場の2026年企画では、市原佐都子作品の関連企画として、2026年9月12日に「市原佐都子の戯曲を一緒に読むワークショップ」のファシリテーターを務めることが案内されています。劇作家としてだけでなく、読み手や観客の視点をひらく案内役として信頼されていることがわかります。

また、同じく2026年には、飛ぶ劇場 Vol.49『誰が殺したペッコロタンゼ』が10月23日から25日まで北九州芸術劇場小劇場で上演予定です。公式案内では、分断をめぐる社会派喜劇として紹介されており、泊さんが現在も同時代の社会に鋭く切り込みながら新作を書き続けていることが確認できます。

さらに飛ぶ劇場の公式サイトでは、2026年に劇団員オーディションを実施したことも告知されています。これは泊さん個人の創作だけでなく、次の担い手を迎え入れながら劇団を更新し続けようとする姿勢の表れです。地域に根ざした劇団が継続するためには、新作を書くことと同じくらい、創作の場を維持し更新することが重要です。泊さんはその両方を実践しています。

まとめ

泊篤志さんは、北九州という土地に足をつけながら、地域演劇を全国へ開く役割を果たしてきた劇作家・演出家です。日常から非日常へ滑り込む作劇、社会性と娯楽性の両立、そして地域の言葉や共同体感覚を生かした舞台づくりによって、独自の存在感を築いてきました。

戯曲図書館で泊篤志さんを知るなら、まずは『生態系カズクン』『大砲の家族』『IRON』を読み比べるのがおすすめです。読むほどに、泊さんが単なる地域劇団の書き手ではなく、現代社会のゆらぎを舞台へ変換し続ける劇作家であることが見えてきます。


参考情報

この記事で紹介した戯曲

Written by

戯曲図書館 編集部

演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。

公開日: 2026-08-03

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