サリngROCKプロフィール|大阪発の言葉と身体で不安の時代を描く劇作家・演出家
サリngROCKさんは、大阪を拠点に活動を続ける劇作家・演出家・俳優です。自身が中心となって立ち上げた突劇金魚で、日常の不安や怒り、やさしさ、滑稽さを同時に抱え込むような作品を発表し続けてきました。言葉の勢いだけでなく、俳優の身体感覚や舞台空間の熱量まで含めて作品を立ち上げるタイプの作り手として知られています。
この記事では、サリngROCKさんの基本的な経歴、作風、受賞歴、代表作、そして近年の活動を整理します。あわせて、戯曲図書館に掲載されている関連作品ページも紹介します。
基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | サリngROCK(さりんぐろっく) |
| 生年 | 1980年 |
| 出身 | 大阪府東大阪市 |
| 主な肩書 | 劇作家、演出家、俳優 |
| 主な拠点 | 大阪 |
| 主な活動母体 | 突劇金魚 |
公式プロフィールや各種作品情報によると、サリngROCKさんは関西学院大学の演劇サークルを母体に、2002年に突劇金魚を旗揚げしました。劇団活動のなかで脚本と演出を担いながら、自身でも出演し、必要に応じてイラストや企画面まで受け持つ総合的な作り手として歩んでいます。
経歴
突劇金魚は当初サリngROCKさんを中心に始動し、2007年の『愛情マニア』以降は山田蟲男さんが参加し、現在のコンビ体制へとつながっていきました。大阪の小劇場シーンを基盤にしながら、劇団公演だけに閉じず、外部企画、朗読イベント、映像分野、他団体への演出参加など、活動領域を少しずつ広げてきたことが特徴です。
初期から評価を集めたのは、身近な人物関係や閉塞感のある状況を題材にしつつ、そこへ毒気とユーモアを混ぜ込む書き方です。劇場賞や戯曲賞を重ねながら、2010年代には岸田國士戯曲賞の最終候補にも複数回選ばれ、関西発の劇作家として全国的な知名度を高めました。
また、劇団主宰者でありながら俳優としての経験も重ねているため、台詞の強度だけでなく、舞台上でその言葉がどう転がるかをよく知った書き手でもあります。この点が、サリngROCKさんの作品に独特の運動性を与えています。
作風
サリngROCKさんの作品を特徴づけるのは、現代を生きる人の不安や怒りをそのまま説明せず、少しずれた会話や身体性の強い場面を通じて浮かび上がらせる手つきです。登場人物はしばしば不器用で、感情の置き場を見失っていますが、作品全体は重苦しさだけに沈まず、突発的な笑い、奇妙な愛嬌、荒々しい優しさを残します。
特に目立つのは、次のような要素です。
- 会話のテンポで人物の痛みや苛立ちを立ち上げる構成
- 現実感のある関西的な距離感と、どこか寓話的な場面の併存
- 社会的不安を背景に置きつつ、個人の関係性へ引き寄せる視点
- 俳優の身体や声の圧力まで想定した、上演向きの台詞運び
そのため、読むときには言葉の鋭さが印象に残り、上演するときには俳優同士の呼吸や熱量が作品の魅力を大きく左右します。小劇場的な切実さとエンターテインメント性のバランスがよく、観客に「痛いのに見てしまう」感覚を残す作家だと言えます。
受賞歴
公式プロフィールなどで確認できる主な受賞・選出歴は以下の通りです。
- 2004年:『王様ニキビ』でロクソドンタフェスティバル2 劇場賞
- 2006年:『鰐と花と欲望ゴールド』で-ISTフェスティバル2006 大賞
- 2008年:『愛情マニア』で第15回OMS戯曲賞大賞
- 2009年:『金色カノジョに桃の虫』で第9回AAF戯曲賞最優秀賞
- 2012年:『夏の残骸』『絶対の村上くん』で若手演出家コンクール2012優秀賞
- 2013年:『漏れて100年』が第57回岸田國士戯曲賞最終候補
- 2018年:『少年はニワトリと夢を見る』が第62回岸田國士戯曲賞最終候補
- 2024年:『小さいエヨルフ』で第2回関西えんげき大賞優秀作品賞
さらに舞台以外でも、映画『BAD LANDS バッド・ランズ』への出演により、第78回毎日映画コンクール新人女優賞とおおさかシネマフェスティバル新人女優賞を受賞しています。舞台創作の人でありながら、映像分野でも存在感を示している点は、近年のサリngROCKさんを語るうえで外せません。
戯曲図書館に掲載されている主な作品
戯曲図書館では、サリngROCKさんの作品情報を確認できます。少人数上演から濃密な人間関係劇まで、作風の幅を見比べるのに向いています。
代表作の見どころ
**『愛情マニア』**は、サリngROCKさんの名を広く知らしめた代表作のひとつです。人物の愛着と執着がないまぜになった関係を、過剰さを恐れず押し出していくため、感情のぶつかり合いそのものが見どころになります。
**『金色カノジョに桃の虫』**はAAF戯曲賞最優秀賞受賞作として知られ、独特の語感とイメージの強さが際立つ作品です。現実の延長にあるはずなのに、どこか夢の中のような感触を残す世界づくりに、サリngROCKさんらしさがよく表れています。
**『漏れて100年』**は岸田國士戯曲賞最終候補となり、さらに2019年にはニューヨークのJAPAN SOCIETY主催で英語リーディング上演も行われた重要作です。日本語の粘りを保ちながら国外にも届いた点は、作品の普遍性を示しています。
**『少年はニワトリと夢を見る』**は二人の親友の関係に焦点を当てた作品で、痛みと親密さが密接に絡み合うサリngROCK作品の魅力が凝縮されています。2023年には山田蟲男さんとの共同改訂版も作られており、作品を固定せず更新し続ける姿勢もうかがえます。
近年の活動
近年の公式情報を見ると、突劇金魚の公式サイトでは第24回公演『羊と祝祭』が過去作品一覧に加わっており、劇団として新作発表を重ねていることがわかります。また、同サイトでは朗読企画「朗読Bar/金魚の夢」や、過去公演映像の公開、公式LINEでの情報発信も案内されており、劇場公演だけに限らない接点づくりを続けています。
外部活動では、ステージナタリーの作品情報から、2024年の兵庫県立ピッコロ劇団『宇宙に缶詰』演出、同年のGold Fish Theatre『GFT版 贋作・桜の森の満開の下』、2025年の三俣婦人会、竹生企画、2026年の大阪演劇祭関連企画などへの参加が確認できます。劇団の枠内にとどまらず、演出家・脚本家として各地の現場に関わっていることが近年の大きな特徴です。
さらに、映画分野では『BAD LANDS バッド・ランズ』出演後の受賞があり、舞台人としての知名度を別の層へ広げる転機にもなりました。劇作、演出、出演の三つを横断しながら、表現の重心を大阪に置き続けている点に、サリngROCKさんの現在地がよく表れています。
上演を検討する人が押さえたいポイント
サリngROCK作品を上演候補として考える場合は、次の点を意識すると準備が進めやすいです。
-
会話の温度差
台詞は自然会話に見えて、感情のズレや反発が細かく仕込まれています。表面的なリアリズムだけで処理せず、相手に届かなさまで含めて読む必要があります。 -
身体の圧力
サリngROCKさんは俳優でもあるため、言葉だけでなく立ち姿や間合いの変化が重要です。読み物として面白いだけでなく、舞台上の運動に変換してはじめて強くなる場面が多いです。 -
笑いと痛みの同居
笑える場面をただ軽く処理すると、作品の底にある痛みが抜けてしまいます。逆に深刻さだけを強調すると、持ち味のしなやかさが失われます。その両立が鍵になります。
まとめ
サリngROCKさんは、大阪の小劇場文化を足場にしながら、言葉、身体、笑い、不安を混ぜ合わせた独自の舞台世界を築いてきた劇作家・演出家です。OMS戯曲賞やAAF戯曲賞での受賞、岸田國士戯曲賞最終候補への選出、海外リーディングや映像分野での受賞など、活動の射程は年々広がっています。
戯曲図書館で作品を追っていくと、サリngROCKさんの魅力は単なる「関西の気鋭作家」という言葉だけでは収まらないことが見えてきます。人間関係のひりつきと可笑しみをどう舞台化するかに関心がある方にとって、非常に刺激的な劇作家のお一人です。
参考資料
この記事で紹介した戯曲
Written by
戯曲図書館 編集部
演劇経験者が運営する戯曲検索サービス「戯曲図書館」の編集チームです。 脚本選びのノウハウ、演劇業界の最新情報、公演レポートなどを発信しています。
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