戯曲パレットを作った理由 — 上演許可の「めんどくさい」をなくしたかった
2026-05-01
約4分で読めます「上演許可、どうやって取るんですか?」
戯曲図書館を運営していると、この質問がめちゃくちゃ来る。
「この作品を上演したいんですけど、作者にどう連絡すればいいですか?」「出版社に聞けばいいですか?」「そもそも許可って必要なんですか?」
正直、自分も最初はよく分かっていなかった。調べてみると、上演許可の取り方は作家によってバラバラだった。出版社経由の人もいれば、個人サイトのメールフォームから連絡する人もいる。SNSのDMで直接やりとりする人もいる。そもそも連絡先が見つからない人もいる。
これ、おかしくないか?と思った。
上演許可の現状はカオスすぎる
演劇をやっている人なら分かると思うけど、上演許可のフローはだいたいこうだ。
- 作家の連絡先を探す(ここで挫折する人が多い)
- メールを送る(返事が来るか分からない)
- 条件を確認する(上演料、クレジット表記、改変の可否…)
- 合意したら振り込む(手段がバラバラ)
- 許可証…はもらえないことも多い
劇団側からすると「とにかく面倒」だし、作家側からすると「突然メールが来て、知らない団体の情報を信用していいか分からない」という状態。
しかも小劇場の世界って、上演料を払わないまま公演してしまうケースも正直あって、それが作家のモチベーションを下げてるという話も聞いた。
じゃあ、プラットフォームを作ればいいのでは
戯曲図書館で「作品を探す」ところまではできている。でも「探して、許可を取って、上演する」までの導線がない。これを一気通貫でやれるサービスがあれば、作家にも劇団にもメリットがあるはず。
そう考えて作り始めたのが「戯曲パレット」だ。
コンセプトはシンプルで、
- 作家が作品を登録して、上演条件(料金、規約)を設定する
- 劇団がサイト上で上演許可を申請する
- 作家が承認したら、決済が走って、許可証PDFが自動発行される
要するに「上演許可のメルカリ」みたいなもの。
実際に作ってみて大変だったこと
技術的にはNext.js + Supabase + Stripeで構築した。技術スタック自体は慣れているものだけど、想定外のことがたくさんあった。
Stripe Connectの審査がとにかく厳しい。 作家への支払いにStripe Connectを使っているんだけど、プラットフォーム型の審査が本当に大変だった。利用規約を何度も書き直したし、本人確認の導線も何パターンも試した。
上演許可のワークフローが複雑すぎる。 最初は「申請→承認→決済」の3ステップだと思っていたけど、実際には「修正依頼」「条件交渉」「取り下げ」「部分承認」など、分岐がめちゃくちゃ多い。メッセージ機能も必要になるし、スレッド設計を3回やり直した。
法律の壁。 メッセージ機能を付けると電気通信事業の届出が必要になる可能性がある。これは正直まだ対応中で、メッセージ機能は一旦無効化している。個人開発で法務まで考えないといけないのはきつい。
戯曲図書館との使い分け
よく聞かれるのが「戯曲図書館と何が違うの?」という質問。
戯曲図書館 → 読者目線。作品を探す・読む・レビューする場所。 戯曲パレット → 作家目線。作品を公開して、上演許可を管理する場所。
本屋と出版社みたいな関係だと思ってもらえればいい。図書館は「この本いいよ」と紹介する場所で、パレットは「この本を使いたい人はここから手続きしてね」という場所。
将来的には両サイト間のクロスリンクをもっと強化して、「戯曲図書館で作品を見つける → 戯曲パレットで上演許可を取る」というシームレスな体験を作りたい。
まだMVPだけど
正直に言うと、戯曲パレットはまだMVP(最小限の製品)の段階で、デプロイはしたけどユーザーはまだほとんどいない。作家の登録を一人ひとりお願いしている段階だ。
でも、このサービスが必要だという確信はある。上演許可の「めんどくさい」をなくすことで、もっと多くの作品が上演されるようになれば、それは作家にとっても劇団にとっても、観客にとっても良いことだと思うから。
もし戯曲の作家さんでこれを読んでいる方がいたら、ぜひ戯曲パレットを覗いてみてほしい。一緒に演劇の流通を変えていきましょう。
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