
ワークショップ台本
『家族の夕食』(短編/3人)
父・母・子が食卓を囲む、日常の中に亀裂が走る7分の短編。関係性の変化を丁寧に扱う練習台本。
学習目標
- 家族関係の構築
- 食事の所作
- 沈黙で語る
必要な準備
- ・食卓と椅子3脚
- ・食器
稽古タイマー
目安 20分
20:00
作品情報
- 登場人物: 父 (50代) / 母 (50代) / 子 (20代・進学のため実家に一時帰省)
- 場所: 家の食卓
- 上演時間: 約7分
本編
(照明が上がる。食卓に3人が座っている。皿と茶碗の音)
母: (子に) おかわりは?
子: あ、いい、大丈夫。
母: ちゃんと食べなさいよ。痩せた?
子: 痩せてないよ。
父: (箸を止めて) 明日、何時の便だっけ。
子: 10時。
父: 空港まで送るよ。
子: (少し間) いや、電車で行くよ。
父: そうか。
母: お父さん、いいじゃない、送ってあげれば。
父: 本人がいいって言ってるんだから。
(沈黙。母が味噌汁をすする音)
母: 向こうで、ちゃんとご飯食べるのよ。
子: 分かってる。
母: 前もそう言って、ラーメンばっかり食べてたじゃない。
子: (笑って) 覚えてるんだ。
母: 覚えてるわよ、そんなの。
(父が黙って自分の茶碗に目を落とす)
子: お父さん。
父: ん。
子: ……いや、何でもない。
父: 何。
子: (首を振る) ううん。
(父がゆっくりと箸を置く)
父: ……向こうで、困ったら、電話しろよ。
子: (小さく) ……うん。
母: (話題を変えるように) デザートあるわよ。イチゴ。
子: あ、食べる。
母: (立ち上がる) すぐ持ってくる。
(母が退場。父と子だけが残る。二人は目を合わせない)
父: ……あのな、
(母がイチゴを持って戻ってくる。父は言葉を飲み込む)
母: はい。
子: ありがとう。
(3人でイチゴを食べる音。照明ゆっくりフェードアウト)
ライセンス
稽古・ワークショップ目的で自由使用可。改変可。有償公演での使用は要相談。
進行役の声かけ例 (Side Coaching)
「父が飲み込んだセリフを俳優は決めろ、観客には言うな」
振り返り質問
- Q1. 母は何に気づいて話題を変えた?
- Q2. 子はなぜ父を見なかった?
考案・出典: 戯曲図書館 (自由使用可)