柿本カシオは「時間管理局」の中で、 ある男子児童を待ち伏せていた。 仲間と共に彼を確保したカシオは、車の中で名を名乗る。 「俺の名前は柿本カシオ。どうだ、驚いたろう?」 男子は「別に」とにべもないが、 内心は驚いていることをカシオは知っている。 男子は、16年前から現代へやって来た、 幼い頃の自分自身だったのだ。 過去の自分に歴史改変を起こさせないため、 家族のため、カシオは奔走する。
「銀河旋律」、「広くてすてきな宇宙じゃないか」に連なる 「柿本家サーガ」の完結編。 タイムトラベルをテーマとしながら、 銀河旋律とは異なる視点で「歴史改変」と向き合います。 銀河旋律も本作も歴史改変をしようとする主要人物がいますが、 立ち位置がそれぞれ敵方か味方かで異なっています。 ともすれば、続編としてダブルスタンダードとなりかねませんが、 シリーズとして一本芯が通った描写が序盤から繰り広げられ、 不安になることなく物語を追いかけられました。 過去の自分がタイムトラベルを行う理由は、 家族絡みで、切なく、そして重いです。 しかし、カシオは終始明るく、過去の自分を引っ張って行きます。 それだけでもカッコいいのですが、 使命だけで動いている訳ではないことも語ってくれます。 大人として、過去から見た未来の自分として、 素晴らしい魅力を持った主人公だと感じました。 ほとんどの登場人物が「銀河旋律」や、 「広くてすてきな宇宙じゃないか」からの地続きで出て来ますが、 もし最初に「僕のポケットは星でいっぱい」見たとしても 十分に楽しめる構成になっているように思えます。 それぞれが自分の想いを元に行動しますが、 複雑と感じる場面はありません。スッと物語にのめり込めました。 「タイムトラベル」と「家族愛」のシナジーが強い、 メッセージが伝わりやすい作品なのだと思います。
成井豊(なるい ゆたか)さんは、日本の劇作家、演出家で、劇団「キャラメルボックス」の創設者として知られています。1959年生まれ、東京都出身で、早稲田大学第一文学部演劇科を卒業されています。1985年に「キャラメルボックス」を旗揚げし、以来、多くの作品の脚本・演出を手掛けてこられました。
成井さんは、早稲田大学在学中に演劇活動を開始し、1985年に劇団「キャラメルボックス」を結成されました。劇団は、ファンタジーやSF要素を取り入れた作品で人気を博し、日本の演劇界に新風を吹き込んできました。成井さんは、劇団の全作品の脚本・演出を担当し、その独特の世界観と感動的な物語で多くの観客を魅了してきました。
成井さんの作品は、心温まるストーリーと個性的なキャラクターが特徴です。以下に主な作品を挙げます。
成井さんは、その創造性と演劇界への貢献が評価され、以下の賞を受賞されています。
成井さんは、劇団の活動以外にも、他劇団や商業演劇の脚本・演出を手掛けるなど、幅広く活躍されています。また、演劇に関する著書も執筆されており、その経験と知識を後進に伝えています。
(2025年3月現在)