英語教室をしているトオルは引越しを繰り返していた。実は彼には人に知られてはいけない秘密があった。それは、手で触れるだけでどんな病気でも直してしまうというモノだった。人に知られると大変なことになると、彼の兄姉は必死に隠そうとする。しかトオルは誰かを助けることで、自分の生きる意味を見出していたのだった。
自己犠牲の物語です。トオルはどんなケガや病気も治してしまう特殊能力の持ち主です。ですがその力を使うことで、逆の自分の腕が動かなくなってしまうという反動があります。それでも彼は人を助けたいという気持ちに溢れているのですが、それが何とも悲しいです。兄と姉はそんなトオルを必死に止めます。そのことに対して悪意は一切ありません。また、登場人物全員が誰かのためを思って行動しているので、悪人というのは出てきません。それが逆に苦しさを感じてしまいます。
そんな自己犠牲の塊であるトオルの前にマリが現れます。彼女は本心からトオルのことを思っていて、トオルもそれに気づいています。ですが彼は別れようとします。この辺りの身勝手さにヤキモキしてしまいますが、それでもトオルには共感してしまいます。
結局、そんなトオルにマリはついていくのですが、その終わり方もとても爽やかで、とても良い余韻に浸れる作品です。
成井豊(なるい ゆたか)さんは、日本の劇作家、演出家で、劇団「キャラメルボックス」の創設者として知られています。1959年生まれ、東京都出身で、早稲田大学第一文学部演劇科を卒業されています。1985年に「キャラメルボックス」を旗揚げし、以来、多くの作品の脚本・演出を手掛けてこられました。
成井さんは、早稲田大学在学中に演劇活動を開始し、1985年に劇団「キャラメルボックス」を結成されました。劇団は、ファンタジーやSF要素を取り入れた作品で人気を博し、日本の演劇界に新風を吹き込んできました。成井さんは、劇団の全作品の脚本・演出を担当し、その独特の世界観と感動的な物語で多くの観客を魅了してきました。
成井さんの作品は、心温まるストーリーと個性的なキャラクターが特徴です。以下に主な作品を挙げます。
成井さんは、その創造性と演劇界への貢献が評価され、以下の賞を受賞されています。
成井さんは、劇団の活動以外にも、他劇団や商業演劇の脚本・演出を手掛けるなど、幅広く活躍されています。また、演劇に関する著書も執筆されており、その経験と知識を後進に伝えています。
(2025年3月現在)