待ち外れの小さな書道教室。そこでは奇妙な形で書道の授業が行われていた。そこに入会したマドロミはある目的を持ちながらも、ギリシャ神話の世界にとらわれていた。その間に書道教室の家元たちの行っている悪事が明らかになっていく。そして事態は最悪の方向に進んでいく。
この物語の舞台である書道教室は、序盤では奇妙なことをしているという印象しかありません。家元や職員たちも間抜けな部分があり、どこか空想的な雰囲気を感じます。ですが物語が進むにつれて、家元の本性が明らかになり、書道教室で行われていることが明らかになります。実在の事件をモチーフにしているためか、そこにいる人たちの姿には妙なリアリティがあります。それによって、マインドコントロールをされる人たちの様子というのが生々しく描かれています。 その物語とは別に、主人公であるマドロミの視点も描かれます。弟を探しに来たと言いながら、ギリシャ神話の中に入り込んでしまっている姿が非常に印象的です。その神話の中で過去が語られていきます。そして、次第に弟のたどった末路も見えてきます。そして終盤には追い詰められた家元の暴走も描かれます。その様子は読みながらも、非常に恐ろしくなります。日常の中に潜んでいる狂気を描いた物語と言えるでしょう。
野田秀樹(のだ ひでき)さんは、日本の劇作家、演出家、俳優で、多摩美術大学名誉教授、東京芸術劇場芸術監督を務めていらっしゃいます。1955年12月20日、長崎県西彼杵郡崎戸町(現・西海市崎戸町)に生まれ、東京大学在学中に劇団「夢の遊眠社」を結成し、日本の演劇界に多大な影響を与えてきました。
野田さんは、東京大学在学中の1976年に劇団「夢の遊眠社」を結成し、数々の話題作を上演して演劇界に大きな影響を与えました。1992年に劇団を解散後、イギリスに留学し、帰国後の1993年に「NODA・MAP」を設立。以降、『キル』『パンドラの鐘』『THE BEE』など、次々と話題作を発表されています。2009年7月には東京芸術劇場の芸術監督に就任し、多摩美術大学の教授も務められています。
野田さんの作品は、独特の言葉遊びやリズム感、社会風刺を取り入れた作風が特徴で、国内外で高い評価を受けています。
野田さんは、その革新的な演劇活動が評価され、多くの賞を受賞されています。
野田さんは、オペラの演出や国際的な共同制作にも積極的に取り組んでおり、フランス国立シャイヨー劇場をはじめ、国際フェスティバルなどでも上演を行っています。また、英国やタイ、韓国の演劇人との国際共同制作にも積極的に取り組み、世界を駆け巡り、意欲的に活動されています。
(2025年3月現在)