1985年。ジャーナリスト・高村のもとに、グリーン製薬の営業社員である杉崎が訪ねて来た。 その目的は内部告発。 自らの会社が、エイズの原因となる非加熱血液製剤の販売を続けている、その危険性を訴えるためだ。 製薬会社が創業された頃の社員であり、現在は小児科医をしている重岡も加わり、この闇の根源が戦時中731部隊と呼ばれた関東軍防疫班から続いていることが明らかになる…。
後に大きな社会問題になった薬害エイズ事件に関する作品です。
血友病の患者がHIVの混入した非加熱血液製剤を投与されたことで、HIVに感染。さらにこの感染が告知されなかったことで、家庭内への二次・三次感染をも引き起こし、千数百名もの感染被害者が出ることになった悲惨な事件。
製薬会社、そして病院、厚生省。非加熱血液製剤の危険性を知りながら、なぜ止めることができなかったのでしょうか?
研究という目的のために非道な人体実験が許されてきた731部隊。
そしてその精神を引き継いだまま、戦後を生き延びてきた医学者たち…。
「倫理と現実はいつ対立してもおかしくない。そして人間は往々にして現実的な選択をして倫理を捨てる。」
会社の利潤優先、箍を外された知的好奇心。
それを許されたとき、それしか道がなかったとき、普通の人々がたやすく倫理を外れていく。
決してその時、その人たちだけの問題ではなく、我々にも起こりうる問題であるということを、加害者側の目線から伝える作品です。