ソウル市民は、「ソウル市民」、「ソウル市民1919」、「ソウル市民昭和望郷編」、「ソウル市民1939・恋愛二重奏」、「サンパウロ市民」などとシリーズでわかれており、内容が異なります。 平田オリザさんは、この戯曲を書き上げた瞬間に「自分はこれで日本演劇史に名を残したな」と思ったそうです。 しかし、初演はそんなに集客がなく、一部から評価されるだけでした。 それでも、現代口語演劇のパイオニアとして歴史を刻む一作品であることに変わりはないでしょう。 平田オリザ『ソウル市民』では支配層の日常が描かれています。 韓国を日本が支配するちょっと前。朝鮮半島に住む日本人家族の話です。 登場人物はそれぞれ好き勝手に会話をしていて朝鮮支配の様子とはまるで関係のない様子でいます。そんな無意識的に出てくる支配者の様子を描いています。タコの話をずっとする男や、いつまでも来ない恋人を待つ女の子。席をたったきりもどってこない怪しいマジシャンなどなど、どこか変なんだけれども、それを観ている私たちと通じる何かがあって、本当に間接的だけれども、自分も無意識に何らかの支配者になっているのかもと、思わせる舞台です。 平田オリザさんの舞台は、いつも舞台上にでてこないものを想像させたり、外で起こっていることを考えさせることで、物語が成り立っていくのですが、この『ソウル市民』も例外でなく、外と内の関係が非常に大事になっています。外では朝鮮人がいて、内は日本人が固まっている。その構図こそが支配者、被支配者の関係を端的に表しているのではないかと思うのです。『ソウル市民1919』では、この関係が極めて顕著に写って考えさせられました。 リアルな会話で構造的に訴えかける戯曲を探す方はぜひ、一度お読みください。
平田 オリザ(ひらた おりざ)さんは、東京都出身の劇作家、演出家で、劇団「青年団」を主宰し、芸術文化観光専門職大学の初代学長を務めています。1962年11月8日生まれで、国際基督教大学教養学部を卒業しました。現代口語演劇理論の提唱者として、日本の演劇界に大きな影響を与えています。
平田さんは、16歳で高校を休学し、自転車で世界一周旅行を経験しました。大学在学中の1983年に劇団「青年団」を結成し、劇作家・演出家としての活動を開始しました。1995年には『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞を受賞し、その後も数々の作品を発表しています。また、演劇的手法を用いたコミュニケーション教育にも取り組み、2021年には芸術文化観光専門職大学の初代学長に就任しました。
平田さんの作品は、日常の会話を重視した「現代口語演劇理論」に基づき、静かな演劇として知られています。
平田さんは、その革新的な演劇手法と作品で多くの賞を受賞しています。
平田さんは、演劇だけでなく、教育や地域振興にも積極的に関わっています。演劇的手法を用いたコミュニケーション教育を推進し、大学での教鞭や地域の文化政策にも携わっています。
(2025年3月現在)