平成元年に夢の遊眠社で初演を迎え、その後再演を繰り返し、平成の終わりに近い2018年にもNODA・MAP版で再演がありました。さらには、シネマ版というのも2019年にあり、長く広く愛されている作品です。 内容は、坂口安吾の「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」、その他小説やエッセイをもとに古代日本史の壬申の乱の話などを加えて、再構成された作品です。 原作はどちらも青空文庫などで読むことができますのでぜひ読んでみてください。 坂口安吾の「桜の森の満開の下」では、昔は、いまのように桜は美しいと人が集まるような場所ではなく、むしろどこかもの恐ろしさを感じる場所で、そこを通るものはみな狂ってしまうという様子が描かれています。 「美しさ」と「怖さ」が相反するものではなく、むしろ近いものだと言わんばかりの描写は、野田秀樹さんも『贋作 桜の森の満開の下』で描いています。夜長姫の美しさあまりに、取り憑かれる男たち。それはまるで桜の木のような不気味さを放っています。 それはさらに言えば、人間の顔をしていても心が鬼であるような、鬼の顔であっても人間の心を持っていたり、正常と狂気どこか分離できない性質を私たちも持っているというような問いかけにも見えます。 でも、そんなこと考えていなくても、後半部分のセリフはとにかく綺麗で美しい。 そんな野田秀樹さんの作品に取り憑かれている自分を振り返り、これも狂気の一種なのかなと思いました。「いやぁ、まいった… まいった…」
野田秀樹(のだ ひでき)さんは、日本の劇作家、演出家、俳優で、多摩美術大学名誉教授、東京芸術劇場芸術監督を務めていらっしゃいます。1955年12月20日、長崎県西彼杵郡崎戸町(現・西海市崎戸町)に生まれ、東京大学在学中に劇団「夢の遊眠社」を結成し、日本の演劇界に多大な影響を与えてきました。
野田さんは、東京大学在学中の1976年に劇団「夢の遊眠社」を結成し、数々の話題作を上演して演劇界に大きな影響を与えました。1992年に劇団を解散後、イギリスに留学し、帰国後の1993年に「NODA・MAP」を設立。以降、『キル』『パンドラの鐘』『THE BEE』など、次々と話題作を発表されています。2009年7月には東京芸術劇場の芸術監督に就任し、多摩美術大学の教授も務められています。
野田さんの作品は、独特の言葉遊びやリズム感、社会風刺を取り入れた作風が特徴で、国内外で高い評価を受けています。
野田さんは、その革新的な演劇活動が評価され、多くの賞を受賞されています。
野田さんは、オペラの演出や国際的な共同制作にも積極的に取り組んでおり、フランス国立シャイヨー劇場をはじめ、国際フェスティバルなどでも上演を行っています。また、英国やタイ、韓国の演劇人との国際共同制作にも積極的に取り組み、世界を駆け巡り、意欲的に活動されています。
(2025年3月現在)