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上演時間
180分
総人数
27人
男性
14人
女性
13人
日本は三つの大国に分かれていた。そしてそれぞれの国が領土を拡大するために、戦争をしていた。そんな中、誘拐されて地下室に閉じ込められていた少女ケガレは外へと脱出する。そして世界のことを何も知らないまま、カネコ組の仕事を手伝うことになる。戦争で戦う兵士の中には大豆でできた人造兵士も混ざっていた。その人造兵士を再利用するために死体をかき集める仕事を、カネコ組は行っていた。ケガレはそんな世界に振り回されながらも、次第に過去の記憶を取り戻していく。
非常に長い作品ですが、テンポがとても良いのであまり気になりませんでした。戦争という殺伐とした世界の中で必死に生きる人々や、生殖機能をつられた故に苦しむダイズ兵の姿がコミカルに描かれています。戦争の悲惨さという重たいテーマを扱っていますし、実際にそのような描写はたくさん出てきますが、コメディ寄りの作品なのでグロテスクな描写はありません。その点は安心して読むことができます。とにかくみんな癖が強く、真剣なのかふざけているのかわからない言動をするので、とても楽しんで読むことが出来ます。 主人公の少女ケガレは閉じ込められていたこともあって、最初は何も知らない様子でした。ですが、カネコ組とかかわることによってお金に執着を覚えるなど徐々に変わっていきます。そしてハリコマと結婚したのちには、ミソギとして生きていきます。その心の成長というのがこの作品の見どころであると思います。そして、すべてを手に入れたのにも関わらず、自らの過去にとらわれてしまう姿にはとても切なさを感じてしまいました。 これらの登場人物以外にも、たくさん個性的なキャラクターが出てくるので、戯曲で読むだけでなく、実際の舞台を見に行ってみたいと思いました。