人気のない展望台にやって来た旅人。彼は大きな箱を持ち、歌を歌いながら歩いていた。それを売店の女性が見ていた。旅人は続きが出なくなり戸惑う。その時女性は声をかけて、飲まないかと誘う。旅人はそれを了承して、ビールを飲む。そこに天文学研究会の一行がやって来る。彼らは様々なことを話し合いながら、不思議な一夜を過ごす。
旅人と売店の女性と天文学研究会のメンバーが織りなす、幻想的な物語です。それぞれのキャラが不思議な魅力を持っています。また、語られる言葉は詩的だったり幻想的だったりするので、どこか童話のようなイメージもあります。 この物語では序盤からビールが出てくるのですが、その描写がとても見事です。つまみにはピーナッツが出てきて、みんなおいしそうに飲んでいる姿が目に浮かびます。なので、読んでいる途中にビールが飲みたくて仕方無くなってしまいました。禁酒中の人は読まないことをお勧めします。 そんな感じで物語は進んでいくのですが、その中で旅人の人形の話や、天文学の話、箱の話といったことが語られます。そして最後にビールに名前を付けて一夜が終わります。夜明け前の空気感もとても爽やかで、読んだ後の余韻もまた素晴らしい作品です。
久野 那美(くの なみ)さんは、兵庫県出身で大阪府在住の劇作家・演出家です。演劇ユニット「階」を主宰し、公演ごとにユニット名を更新する独特のスタイルで活動しています。詩的で美しい台詞と巧妙な物語構成が特徴です。
久野さんは、高校時代に友人と演劇部を立ち上げ、演劇活動を開始しました。劇作家としての道を歩み始め、詩的な台詞や多重構造の物語が評価されています。戯曲は全国の高校演劇大会や学生劇団などで数多く上演されています。
久野さんの作品は、日常の中にある非日常や人間関係の微妙な感情を巧みに描いています。
久野さんは、その独特の作風と高い文学性でいくつかの賞を受賞しています。
久野さんは、劇作だけでなく、高校演劇や学生劇団への戯曲提供や講演活動なども行い、若手劇作家の育成や演劇文化の普及に貢献しています。
(2025年3月現在)