日本のようで違う世界。そこでは太郎という男性が何やら話している。すると電話が鳴って彼の妹であるミヤが入って来る。彼女は医者の義則と親しい中になりついに婚約したことを太郎に告げる。そして二人で義則と会うことになるのだが、彼は現れなかった。ミヤの元に義則が亡くなったという連絡が瞬間、彼女の世界は巻き戻される。そして太郎たちはミヤの世界を壊すまいと、同じ場面を演じ続けるのだった。
ひとつの世界をループする物語です。最初は何のことか全くわからずに混乱してしまいますが、物語が進んで行くうちに徐々に明らかになっていきます。妹のミヤのために繰り返す世界を転じ続けるという常軌を逸したことをしているのですが、これもまた一つの愛であるということはわかります。ですが、そんな生活が長く続けられるわけはなく、次第にボロがでてきます。そこで翻弄される人たちの姿は悲惨ですがある意味楽しそうに思えてしまいました。また、出てくる登場人物もキャラが濃いいです。ふざけているか真剣なのかわからないその言葉はとても読んでいてとても楽しく思いました。ただ、結末についてはハッピーエンドなのかバッドエンドなのかどちらとも言えません。ミヤは幸せそうだからいいのかもしれませんが、本当にそれでいいのかはわかりません。物語自体は最初こそ訳の分からない会話が交わされるので変に思うかもしれません。ですが最後まで読んだのちに、もう一度最初から読むとすべてが納得いきます。非常に難解な部分もありますが、様々な考察もできる良い作品であると思いました。