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上演時間
60分
総人数
4人
男性
2人
女性
2人
斎条で一人の人物の葬儀が行われていた。その葬儀に参加していた男は、逃れるように待合室にやって来る。彼は紙袋をたくさん持っていた。それは故人の関係者からもらったのだ。紙袋には一冊ずつ本が入っている。男はそれらの本の作者なのだ。あまりの荷物の多さに戸惑う男の前に、何も持ってない男が現れた。その男は故人を師匠と呼んでいた。何の師匠かというと、点々という競技の師匠なのだ。そしてその点々は紙袋を持った男が書いた小説に出てくる架空の競技であることが判明する。
斎条の中にある一室で繰り広げられるとても奇妙な物語です。個人名は出てきません。紙袋や白靴下といった独特の名称がつけられています。故人についてはあまり語られません。ただその関係者が、男に本を返しに来るという形で、物語が進んでいきます。 男は小説家なのですが、残念ながら才能はないようです。ですがそこに書かれた、架空のスポーツである点転が現実になっているという話の展開は予想できませんでした。そこからの会話の流れや、男の態度がコミカルでとても面白いです。そして、すべてを理解した途端に権利を主張し始める欲深さも人間臭くて好きです。 点転というスポーツも架空ではあるのですが、かなり熱く語られるので実際にやってみたくなります。また、架空のスポーツが世界規模の大会になっているということにもロマンを感じます。 全体を通して世にも奇妙な物語に似た独特の空気を感じることのできる作品です。