男の住むアパートに、9人家族が訪ねてくる。男が拒むも勝手に入ってくる9人の家族。 警察もアパートの大家も相手にしてくれない。 9人家族は自らを友達だといって、我が物顔で、そこで生活を始める。 男が恐怖で死んだ時、9人家族はひとりぼっちの人を探して夜の都会へと歩き出す。
「砂の女」などで有名な安部公房さん、実は演劇でもバリバリ活躍しています。 文学性の高い演劇は、舞台に行われていることの意味をうかびあがらせてきます。 「友達」は、そんな安部公房さんの傑作不条理劇です。 見ず知らずの家族、しかも9人!?が家に勝手に上がり込んできて、自らを「友達」だというそんな不気味すぎる設定なのですが、安部公房「友達」は共同体のあり方を問う作品で、被害者と加害者が容易に変わっていく様子が伝わって来ます。 9人家族のなんともいえない不気味さが彼らが歌う「友達のブルース」とあいまって、舞台上でも戯曲上でも身にしみて伝わってきます。 こんな感じでちょっと怪しい感じの台本をお探しの方はぜひ、読んでみてください。