柿本家は、児童福祉アンドロイドの「おばあちゃん」を迎え入れた。 父の光介が勝手に話を進めてしまったこともあり、 三人兄妹の反応はまちまちではあったが、 長男のカシオ、長女のスギエはおばあちゃんの優しさに絆され、 少しずつ彼女との距離を近づけていく。 しかし、末っ子のクリコだけはおばあちゃんを拒み続けた。 その頑なさがだんだんとこじれ、 周囲を、更には東京をも巻き込む騒動へと繋がってしまい……。
銀河旋律より続き、僕のポケットには星がいっぱいへと繋がる、 柿本家サーガの二番目の物語です。 この作品ではタイムトラベルについては触れられず、 「日常生活を支えてくれるアンドロイド」をテーマとしています。 母を失った子供たちであるカシオ、スギエ、クリコの三兄妹。 彼らに対し、おばあちゃんは人工のアンドロイドとして、 彼らの「おばあちゃん」として、優しさを投げかけます。 そんな彼女をクリコは徹底的に拒否します。 それも仕方がありません。クリコにとって母は、はるかただ一人。 おばあちゃんでは「代わり」は務まらないからです。 それでもおばあちゃんは真摯に、 それが当たり前であるかの様にクリコと向き合い続けます。 その姿は健気で、それでいてたくましく、胸を打たれました。 この作品では、おばあちゃんの他にもう一人のアンドロイド が登場します。「家族との死別と、アンドロイドの関わり」 を司るおばあちゃんとは異なり、もう一人のアンドロイドは 「生死に関わる人間とアンドロイドの違い」について訴えます。 重く、生々しい問題ですが、 それに対しては「おばあちゃんの在り方そのもの」がアンサー を務めてくれます。終始明るいおばあちゃんのおかげで、 重苦しくなることもなく物語を追うことができました。 そして更に、その「おばあちゃんの在り方」が最後のシーンで 一層の輝きを見せます。観る側としては、シンプルに見惚れ、 感動してしまいました。 ストーリーラインと直接絡むものではないかもしれませんが、 ここの演出一つでこの作品の後味が大きく変わってくるように思います。 開幕から終幕まで、おばあちゃんの優しさと強さに引っ張ってもらえる、
成井豊(なるい ゆたか)さんは、日本の劇作家、演出家で、劇団「キャラメルボックス」の創設者として知られています。1959年生まれ、東京都出身で、早稲田大学第一文学部演劇科を卒業されています。1985年に「キャラメルボックス」を旗揚げし、以来、多くの作品の脚本・演出を手掛けてこられました。
成井さんは、早稲田大学在学中に演劇活動を開始し、1985年に劇団「キャラメルボックス」を結成されました。劇団は、ファンタジーやSF要素を取り入れた作品で人気を博し、日本の演劇界に新風を吹き込んできました。成井さんは、劇団の全作品の脚本・演出を担当し、その独特の世界観と感動的な物語で多くの観客を魅了してきました。
成井さんの作品は、心温まるストーリーと個性的なキャラクターが特徴です。以下に主な作品を挙げます。
成井さんは、その創造性と演劇界への貢献が評価され、以下の賞を受賞されています。
成井さんは、劇団の活動以外にも、他劇団や商業演劇の脚本・演出を手掛けるなど、幅広く活躍されています。また、演劇に関する著書も執筆されており、その経験と知識を後進に伝えています。
(2025年3月現在)