「野田」(野田秀樹)は、カンボジアで突如消息を絶った報道写真家の話を脚本にしようとする。しかし、ストレスのせいか野田秀樹は失明してしまう。 カンボジアではゲリラ。それから少年との出会いの中で、野心と良心の間にもがき苦しむカメラマン(吹越満)がいた。そして帰らぬフィアンセを待ち続ける女(牧瀬里穂)。 フィクションとノンフィクションのはざまで登場人物の心が重なるとき、そこに生まれる別の”リアル”…
こちらは野田秀樹『赤鬼』や野田秀樹『農業少女』と同じくNODA・MAPの番外公演として上演されたものです。少人数で行われ、比較的狭い空間を使いながらも、役者の演技やセットを活用し、場面転換が激しく行われます。 さらにその登場人物を少人数で演じわけること自体がこの芝居を成り立たせる鍵になっています。(一度、脚本を読んでみてください!) 野田秀樹さんが右目を失明したという事実に基づく話で、物語中で、失明した野田秀樹さんが「Right Eye」を「正しい目」「Left Eye」を「残された目」と言うシーンがあります。 自分の悲劇的体験ですら、言葉遊びに変え、それを報道写真家の話に置き換え、真実を問う作品をつくりあげる野田秀樹さんの力量に圧倒されました。 野田秀樹氏はこの作品「Right Eye」にでてくるカメラマンのモデルの実家を訪れ、その写真を観た時、 … その若い魂は、まだ生々しいぬくもりをこちらに感じさせるほど、力強い写真を撮っていた。その写真が、彼の作為というものが、まだこうも生々しく息をしている以上、私の作為で踏みにじっていいものだろうか、作為の自由をふりかざし、人を踏みにじる、私こそパパラッチである … 公演パンフレットより引用 と、それまでの完全なフィクションにこだわった物語から、真実をごまかすことをしてはならないと思ったらしく、”真実”ということにこだわった物語になっています。 そのためか、この作品は、野田秀樹さんの他の作品と比べて比較的わかりやすいような気がしました。夢の遊眠社時代のように、とめどないセリフについていけないと言う方は、この「Right eye」を読んでみるといいかもしれません。(セリフのスピードが早いのは変わりませんが…)
野田秀樹(のだ ひでき)さんは、日本の劇作家、演出家、俳優で、多摩美術大学名誉教授、東京芸術劇場芸術監督を務めていらっしゃいます。1955年12月20日、長崎県西彼杵郡崎戸町(現・西海市崎戸町)に生まれ、東京大学在学中に劇団「夢の遊眠社」を結成し、日本の演劇界に多大な影響を与えてきました。
野田さんは、東京大学在学中の1976年に劇団「夢の遊眠社」を結成し、数々の話題作を上演して演劇界に大きな影響を与えました。1992年に劇団を解散後、イギリスに留学し、帰国後の1993年に「NODA・MAP」を設立。以降、『キル』『パンドラの鐘』『THE BEE』など、次々と話題作を発表されています。2009年7月には東京芸術劇場の芸術監督に就任し、多摩美術大学の教授も務められています。
野田さんの作品は、独特の言葉遊びやリズム感、社会風刺を取り入れた作風が特徴で、国内外で高い評価を受けています。
野田さんは、その革新的な演劇活動が評価され、多くの賞を受賞されています。
野田さんは、オペラの演出や国際的な共同制作にも積極的に取り組んでおり、フランス国立シャイヨー劇場をはじめ、国際フェスティバルなどでも上演を行っています。また、英国やタイ、韓国の演劇人との国際共同制作にも積極的に取り組み、世界を駆け巡り、意欲的に活動されています。
(2025年3月現在)