鈴木真の仕事は、健康食品「元気の雫」の営業である。その実態はいわゆるマルチ商法であり、事務所に集まる他の社員や会員も曲者ぞろい。怪しい過去を持っていそうだったり、セックスを武器に商品を売っていたり、「元気の雫」狂信者めいていたり。真自身も多額の借金を抱えていた。いつ摘発されるかも分からない商売のために集まった、ここにしか居場所のない者たち。 そんななか、会員のひとりである観音崎がかつて所属していた人気アイドルグループの元メンバーが麻薬所持で逮捕され、売買の相手として観音崎の名前を挙げたというニュースが入る。警察が事務所に来るのも時間の問題だがーー
同じ単行本に収録されている『ばら色の人生ーLa vie en Rose』と同じく、まず設定されたシチュエーションが絶妙に面白い作品です。まず登場人物たちが皆「マルチ商法に関わっている人たち」であり、そのひとりひとりが「借金のある人」だったり「誰とでも寝るヤツ」だったりする。でもどんなカテゴリーで括っても、どんな名前で呼んでも、そこにいるその人はその人でしかない。そんなことを考えさせられます。