戦局が緊迫する日本。兄の墓参りに寺を訪れた杉本は、寺の住職からある頼みごとを受ける。 寺の本尊である鉄の観音像が軍に供出を迫られており、ひそかに疎開させてほしいと言うのだ。 頼みを引き受けた杉本は観音様を背負い、疎開先の九州を目指して旅をする。
観音像を疎開させるための道中、スイカ泥棒や結婚に悩む青年など、杉本は様々な人々やその悩みに出会います。 さらに観音像は盗まれて人々の間を行き来した末、憲兵に見つかってしまうのですが、杉本は供出を拒みます。 なぜ頼まれただけの杉本がそこまで必死に観音像を守ろうとするのでしょうか? その理由は戦死した兄にありました。 誰かを傷つけたり、殺したりするようには出来ていないものを、溶かして作りかえることなどもう決してさせたりしない。 胸に迫る悲痛な叫びが強く印象的な作品でした。