民間人が提供するタイムトラベルで、 個人が歴史改変してしまえることが問題視されている日本。 人気ニュースキャスターの柿本は番組収録中に、 自分の過去が改変された際に起こるめまいに襲われた。 同時刻にめまいが起こった恋人のはるかと記憶を擦り合わせたところ、 二人の馴れ初めが改変されてしまったことが判明する。 誰が犯人で、その目的が何なのかをを探っているうちに、 またしてもめまいが起こり……。
もしタイムマシンが実用化され、
個人が容易に過去の改変が出来るようになってしまったら?
そんな日本で繰り広げられる三角関係を追う作品です。
タイムトラベルの利用法として誰もが一度は考えるだろう、
と思える犯人の動機はいたってシンプル。
「まあ、やれるなら、やるよね」と共感さえ持てます。
持てますが、それを実践してしまうのには少し引いてしまいました。
それだけ犯人のヴィランとしての魅力が、
強烈に表現されているということでもあるでしょう。
しかしそれ以上に、主人公柿本の実直な想いが衝撃的です。
改変前と改変後の自分と周りの人の変化、そして、
それに伴う葛藤の先で柿本は動きます。
世界観に則った、決して大々的ではない個人レベルの事件において、
「そのためそこまでできるの?」と感じてしまう行動力には脱帽です。
柿本も犯人もどちらも目的のために作中の法を破ってはいますが、
やはり主人公の一本気な姿の方に胸を打たれてしまいました。
(悪い意味ではなく)頭を空っぽにして柿本の激情に心を委てみると、
銀河旋律をより楽しく読み取ることが出来るだろうと思います。
ストーリーの途中、はるかが教師を務める学校の生徒達が、
告白するかしないかでやいのやいのしているシーンが挟まれ、
そこでこの作品のもう一つのテーマとも言える「短歌」が掘り下げされます。
古典としての短歌に秘められた歌人の想いが、
過去の改変とその先にある人間模様に絡んでいくのが美しいです。
作中で詠まれる短歌を調べれば、
登場人物の感情を深く解釈できるかもしれません。
スピーディーで激しい展開を、短歌の趣きで優しく支えるているような、
そんな物語でした。
成井豊(なるい ゆたか)さんは、日本の劇作家、演出家で、劇団「キャラメルボックス」の創設者として知られています。1959年生まれ、東京都出身で、早稲田大学第一文学部演劇科を卒業されています。1985年に「キャラメルボックス」を旗揚げし、以来、多くの作品の脚本・演出を手掛けてこられました。
成井さんは、早稲田大学在学中に演劇活動を開始し、1985年に劇団「キャラメルボックス」を結成されました。劇団は、ファンタジーやSF要素を取り入れた作品で人気を博し、日本の演劇界に新風を吹き込んできました。成井さんは、劇団の全作品の脚本・演出を担当し、その独特の世界観と感動的な物語で多くの観客を魅了してきました。
成井さんの作品は、心温まるストーリーと個性的なキャラクターが特徴です。以下に主な作品を挙げます。
成井さんは、その創造性と演劇界への貢献が評価され、以下の賞を受賞されています。
成井さんは、劇団の活動以外にも、他劇団や商業演劇の脚本・演出を手掛けるなど、幅広く活躍されています。また、演劇に関する著書も執筆されており、その経験と知識を後進に伝えています。
(2025年3月現在)