戦国の世が終わり、徳川幕府の始まる頃。 この物語の主人公・日章(如竹)は出身地である屋久島を出、尼崎の本寺で修行をするが、法華僧への出世は叶わなかった。後に彼は朱子学を学び、如竹と名乗る。 高い価値を持つ屋久杉を伐って送るよう島民に求めていたが、やがて島に大きな災害が起きる。 世も変わり、検地が進み、人別帳も作られて、年貢を納めなければならなくなった島民たち。 屋久杉を伐ることの免罪符が必要だった。
貧しい島民の生活を助けるため、屋久杉を伐採し年貢に納めることを奨励したとされている如竹。
彼はどんな人物だったのでしょうか?それは慈愛か、あるいは損得勘定ゆえか。
印象的なのは、山に入った如竹の前に神が現れ、「お前にはあの木が伐れるか?」と問いかけられるシーン。
祖先よりもはるか前から島にあった屋久杉に、斧を打ち込むということ。
島民に強いてきたその痛みに、如竹は初めて気が付くのでした。
ただの善人ではなく、出世を願い、挫折する、等身大の人間として如竹を描いた作品です。