本作は3つの場所で繰り広げられるオムニバス形式の物語である。学校の校庭では葬式帰りの同級生が思い出を語る。児童公園では砂場に倒れた男を尻目に、男性が女性にアンケートをとる。病院の中にはでは仲睦まじいカップルに、謎の女性が歌を作って欲しいと頼む。それぞれの物語の中には共通して様々な死があり、それが色々な形で語られていく。
非常に不思議な物語です。オムニバス形式で物語が進んでいきます。第1幕の校庭での話は、葬式帰りの三人の男女が思い出話をします。その中で亡くなった女性のことが話題に出ますが、確信には触れません。なんとなくはぐらかすような形で物語は終わります。 第二幕では公園で男性が女性にアンケートを取ります。眼の前の砂場には男が大の字で倒れており、そこに女が自転車に乗って話をします。結局そのままなんとなく物語は終わります。 第三話では病院の庭でカップルがイチャイチャしていると、女性が男に歌を作って欲しいと頼みます。こちらも余韻を残して幕をおろします。 どの物語も気になるキーワードや言動が描かれてはいますが、核心には触れません。しかし、触れないながらも、それぞれの作品の内容はほかの幕の内容と関連しており、想像の仕方次第では全く違う物語になる味わい深い作品であると感じました。ぜひ、たくさんの人に読んでもらって色々なコメントを聞いてみたいと感じました。
大阪府を拠点に活動する空の驛舎の劇作家および演出家。 2003年に空の驛舎を設立して以降、OMS戯曲賞やかながわ戯曲賞、名古屋文化振興賞など多くの戯曲賞を受賞しています。2017年には、中村賢司から中村ケンシに改名し、公演活動を継続しています。作品は、人間関係と矛盾を探求し、リアルなドラマを通じて観客に感動と考えさせるメッセージを提供しています。