いとしの儚
作者: 横内謙介(劇団扉座)恋愛時代劇感動『いとしの儚』の上演時間と人数
男:14人
女:8人
その他:2人
総人数:24人
上演時間:150分
あらすじ,概要
主人公の鈴次郎は腕のいい博打打ち。彼にはサイコロの女神がついているのだ。ある時、人間に化けた鬼と勝負をして見事勝利する。その借金のかたとして鈴次郎は自分が最も美しいと思う女性を望む。鬼は言う通りに死体から女性を作り出す。儚と名付けられたその女性は、100日後でなければ抱くことが出来ないという。その間に鈴次郎はサイコロの神を怒らせたことにより、敗北を重ね何もかも失ってしまう。ただどうしても儚だけは助けようと、地獄の鬼に自らの命を賭けて最後の勝負にでる。
いとしの儚を読んだ感想
この物語の主人公、鈴次郎は誰にも頼らずに博打だけで生きている無頼な男です。そう聞くとかっこいい男だと思うかもしれませんが、残念なことにとんでもないチンピラです。口は悪いし、お世話になった人の恩を仇で返すし、敵から語られる彼の過去もどうしようもない、いいところが全くない主人公です。そしてヒロインである儚は、人間の死体を作って生み出されます。しかしその魂は無垢な赤ん坊のままです。最初は何も知らず、鈴次郎のような汚い言葉を発していたのが、周りの人の協力により、立派な大人へと成長していきます。人間としてダメなまま生きる鈴次郎と、美しく立派に成長していく儚という対照的な二人が、この物語をより魅力的にしています。
そして終盤では鈴次郎もついに自身の胸の内を明かして、儚と一緒に生きようとしますが、それすらかないませんでした。最後の結末は堕ちるところまで堕ちた鈴次郎にふさわしいものです。ですがそんな彼に最後に訪れる救いには心が打たれます。悲惨なシーンも多いですが、笑えるシーンもあり、とてもメリハリが聞いた作品なので楽しく読むことのできる作品です。
横内謙介さんのプロフィール
横内謙介
所属劇団等:劇団扉座
ウェブサイト:https://tobiraza.co.jp/yokouchi
東京生まれの劇作家・演出家。早稲田大学第一文学部に進学後、神奈川県内の高校演劇部のOBを中心に劇団善人会議(現在の扉座)を立ち上げました。その後も、劇団公演の作品を手がけ、特に『愚者には見えないラマンチャの王様の裸』で第36回岸田國士戯曲賞を受賞するなど、演劇界での著名なキャリアを築かれました。
『いとしの儚』の台本入手方法
この戯曲、横内謙介『いとしの儚』はwebサイト上で無料で公開されています。
下記のURLからぜひ一度ご確認ください。
;
(外部サイトに飛びます)