かつて色欲におぼれて孕んだ息子。捨ててきた息子とやり直したいと探し続けた母は、叶わぬ年月の果てに自殺未遂を行う。 しかし生死の狭間、三途の川の渡し守の手助けで、寝たきりになっている息子の体内に入り込み、その魂を救う機会を得る。 息子の体内で繰り広げられていたのは、疑人化した臓器や魑魅魍魎たちの争いだった。
日本劇作家協会主催の「月いちリーディング」で取り上げられられた作品です。 甚兵衛(腎臓)、新之助(心臓)、胡弓(肺)に勘太(肝臓)…といった具合に、臓器たちが情念渦巻く争いを繰り広げているという奇妙な世界が描かれます。 作品の中では歌での語りも多く用いられ、歌舞伎を意識した作りとなっており、一風変わった人情ものといった雰囲気です。 河童や天狗といった存在も加わり、こじれた彼らの争いを鎮めるためには、一体何ができるのでしょうか? 先祖からの自然を守りたい河童と開発したい天狗、それぞれの陣営に肩入れする臓器たちの感情と、母の活躍が印象的な作品です。
劇団員が全員劇作家であるという劇団劇作家に所属していた劇作家。大学時代は歌舞伎や浄瑠璃人形芝居などを学び、作風も近世演劇に影響を受けたものになっている。