チョコチップクッキー

作品情報

上演時間

60分

総人数

20人

男性

9人

女性

11人

あらすじ

「私」は自分を喘息持ちと偽り、療養する人々の住む町を訪れます。 そこで処方されるポリフェノールでチョコチップクッキーを作って暮そうとしますが、 町民や町の仕組みが障害となりうまくいきません。 仮病もバレて処方を減らされた頃、町民の「リリー」に誘われ、 同僚の「はっち」と三人でチョコの調達を試みますが……。

感想・レビュー

この作品の登場人物のほとんどは、他人を慮るということをしていません。 皆が皆、自分だけの業務・利益・欲望・衝動に忠実に行動します。 かけ合い一つ一つでそのことが表現されており、言葉にのみ注目すると噛み合っていない様な会話が多く見られます。 突飛な単語が出て、読み取るのに難儀することもありました。 最初は「変な町だし、変な連中だな」と思いました。 しかし、登場人物同士のやり取りや明かされていく「町」の仕組みを見るうちに、 少しずつこの作品のリアリティを感じ取れるようになっていきます。 表向き交流するためだけの胡乱な会話、責任のなすり付け合い、他者を貶める井戸端会議、 監視社会、真面目に働く者の不公平感などなど……現実社会もこの変な「町」とそっくりな部分が結構あるな、と思えてくるのです。 他人を慮ることが出来ない人も少なくないですよね。 現実世界の私たちも彼女たちと同じように社会や周りの人々に振り回されています。 報酬が少なく、辛いことばかりで逃げ出したくもなります。 例えばもし自分が今いる辛い環境から抜け出したとして、 逃げた先の環境が「チョコチップクッキー」の「町」だったらどうなるか……そんな不安がよぎりました。 「私」は果たして、チョコチップクッキーのために逃げこんだ「町」で何を得られるのでしょうか。 「私」にとっての「チョコチップクッキー」とは何なのでしょうか。 是非、登場人物達の変な会話や行動の裏に見え隠れするリアルさを感じながら、「私」の顛末を見届けてみて下さい。 全体的に飄々とした台詞回しでありながら、現代社会や労働についての不穏な面をユーモラスかつ真摯に描いた作品です。

台本の入手方法

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