2013年の九州戯曲賞最終候補作。 田舎にある旧家水野家。そこには若い家族が暮らしていた。それぞれが事象を抱えながらも、互いに気を使いながら何気ない日常を送っている。そして家の中心である居間を舞台に、家族たちは集まって食事を取ったり、サイコロを振って遊んだりする。そして互いの胸の内が語られていく。
田舎の古い家が舞台なだけあって、とてもゆったりとした時間の流れを感じることが出来ます。まるで実際に田舎の親戚の家に行った時のような感覚です。物語の中では小さなハプニングがいくつかおきますが、家族の在り方を変えてしますような重大事件は起こりません。そのため、田舎にある家族の日々を、物語を通して覗き見ているような感覚になります。 しかし、ただ淡々と物語は進みません。結婚する話や、彼女との微妙な関係。親戚の女性に対する恋心など様々なことが語られていきます。その話の中で微妙に揺れ動く人間の心がとてもはっきり見て取れます。また、普段は人とかかわろうとはしない長男の進の行動も、とても共感が出来ます。そんな彼も最後にはみんなと普通に会話をするのですが、それもまたいいです。全体を通してとても落ち着いた気分になることのできる作品です。