灯台のある公園。そこには白衣を着た女性が唄を歌いながら何かを待っていた。一方、写真家の男性もまた何かを探しながら海の見える公園の写真をとっている。そしてたまたまそこにいた女性と話をする。その女性もまた、何かを待っているのだった。それぞれの登場人物は思いを胸に秘めて、海を眺め続ける。
もともと港だった公園で繰り広げられる物語です。登場人物はそれぞれが何かを探していたり、何かを待っていたりしています。そして話される会話はどことなく詩的で抽象的な印象を受けます。そのつかみどころのない会話のため、物語の全体像をつかむのに少し手間取ってしまいました。ですが、話が進んでいくうちに徐々にそれぞれの思いが繋がっていきます。途中で出てくる公園倫理委員会の男の美しい公園を作りたいという言葉は印象に残りました。
全体を通して重たい話もありますが、そういった思いもすべて海に帰っていくのだという印象を受けました。また、戯曲の中で歌が登場しますが、読むだけでは伝わらない部分です。ぜひ実際に劇を見てどんな唄を歌っているのか聞いてみたいと思いました。
久野 那美(くの なみ)さんは、兵庫県出身で大阪府在住の劇作家・演出家です。演劇ユニット「階」を主宰し、公演ごとにユニット名を更新する独特のスタイルで活動しています。詩的で美しい台詞と巧妙な物語構成が特徴です。
久野さんは、高校時代に友人と演劇部を立ち上げ、演劇活動を開始しました。劇作家としての道を歩み始め、詩的な台詞や多重構造の物語が評価されています。戯曲は全国の高校演劇大会や学生劇団などで数多く上演されています。
久野さんの作品は、日常の中にある非日常や人間関係の微妙な感情を巧みに描いています。
久野さんは、その独特の作風と高い文学性でいくつかの賞を受賞しています。
久野さんは、劇作だけでなく、高校演劇や学生劇団への戯曲提供や講演活動なども行い、若手劇作家の育成や演劇文化の普及に貢献しています。
(2025年3月現在)